ARMの低コストコアによる新マイコン

NXPは、2月24日、低消費電力で8ビットの価格で32ビットの性能を実現するプロセッサコア「Cortex-M0」を発表した。NXPと米Triad Semiconductorは、同プロセッサの初のライセンサとなっており、同プロセッサ搭載マイコンとして電池駆動の民生機器や光熱費メータ、照明、モータ制御など8/16ビットマイコン領域をカバーする「LPC1100」を発表している。

NXPセミコンダクターズジャパン MCUテクニカルマーケティング マネージャー 田中法和氏

Cortex-M0は、電力効率を重視するCortex-Mファミリの中でも、実質的に必要とされる動作を絞り込み、8/16ビットデバイスなみの性能とすることで、動的電力を16ビットプロセッサ並みとしたCPUコアであり、アーキテクチャとして「超低電力熟睡モード動作を目指した」という。そのため、設計は高い静的電力達成のため「ARM 180ULLライブラリ」および「PMK」を使用したほか、電力管理ユニットは「起床割り込みコントローラ」を通じて集積化を図っている。

このため、8/16ビットCPUコアと消費電力と実行時間の関係を比べてみても、「早く処理を終わる分だけ、エネルギーを抑えることが可能になる」(同社 MCUテクニカルマーケティング マネージャー 田中法和氏)としているが、「マイコンを扱う側の経験からすると、カスタマはコア性能や消費電力は見るが、電力効率というものに対する意識は薄かった」(同)としており、今後はそういった意識を植え付けていきたいとした。

Cortex-M0の概要

また、2008年にはARMコア「Cortex-M3 V2」を用いたマイコン「LPC1300」および「LPC1700」を発表しており、「製品ファミリに関するさらなるアナウンスを2009年中にも予定している」(同)とする。

Cortex-Mシリーズを搭載したNXPの汎用マイコンシリーズ各種

現状、同社のARMコア搭載マイコンのラインナップは8ビット向けの「LPC900」から16ビットにも対応する"LPC1100"、アナログ対応の"LPC1300"、従来からの主力品「LPC2000」、ハイパフォーマンス向けの"LPC1700"、ARM9コアを搭載するハイエンド向け「LPC2900」「LPC3000」となっており、その多くがUSB、LCD、イーサネット、モータ制御といったペリフェラルに対応しており、用途に応じて必要となるコアからマイコンを選択することができるようになっている。

NXPのLPCファミリ一覧

Cortex-M0および同M3のラインナップを加えたARMコア搭載マイコンのポートフォリオは80製品を超しており、製品間のIPコアの共通化、ソフトウェア資産の流用などを可能とすることで、一連の製品群としての使いやすさを生み出しているという。

NXPのARMコア搭載マイコン一覧

なお、「LPC17xx」ファミリは、米国サンノゼで3月30日から4月3日まで開催される「Embedded Systems Conference(ESC)」にてデモ出展されるほか、「間に合えばサンプルの配布も行う可能性がある」(同)とする。このサンプルはフラッシュメモリ256KB品であり、同5月より量産サンプルの出荷開始と予定している。また、同512KB品についても同月の内に限定サンプルの出荷を開始する予定としている。

このほか、同社ではARM9コア搭載マイコン「LPC315x」ファミリを「もうすぐラインナップとして加える」(同)としている。主な特徴としては、ハイスピードUSB 2.0 OTG(PHY)を内蔵するほか、最大192KBのSRAM、オーディオコーデックやPower Supply Unit(PSU)、Li-ion Chagerなどのアナログペリフェラル、AES暗号エンジンや512ビットセキュアOTPなどのセキュリティ機能などが搭載される。

新製品としてもうすぐ登場予定の「LPC315x」の概要