インテルは3日、同社最新状況を発表する恒例のアップデート会見を開催した。32nmプロセス世代までを視野に入れた最新の製品ロードマップが改めてまとめられている。今回はついに国内サービスが開始されたWiMAXも重要なキーワードだ。
32nmを前倒し、製品ロードマップ
既報の通り、インテルは32nmプロセスで製造される次世代プロセッサ製品への移行を前倒しで進めている。最初に登場するプロセッサは、Nehalemアーキテクチャがべースの「Westmere」(開発コードネーム)世代の製品だ。
Westmere世代のアーキテクチャを採用したプロセッサとしては、デスクトップ向けデュアルコアの「Clarkdale」と、モバイル向けデュアルコアの「Arrandale」の製造が2009年中に開始される。元々は、デスクトップ向けの「Havendale」、モバイル向けの「Auburndale」という45nm世代のデュアルコアが計画されていた位置だが、それらをキャンセルがキャンセルされ、32nm世代のデュアルコアが上書きされた格好となっている。
このClarkdaleとArrandaleが、メインストリームクラスをターゲットに提供される一方、それと平行してクアッドコアの製品ではデスクトップ向けクアッドコアの「Lynnfield」、モバイル向けクアッドコアの「Clarksfield」が当初の計画通り投入される。ともに45nm世代Nehalemで、グラフィックス機能を統合していないプロセッサ。プロセスの世代としては一世代古いが、メインストリームの上のクラスにはこちらが使われるものだと考えられる。
CPU側はふた世代共存だが、以上と組み合わされるプラットフォーム側はそれぞれ共通のものが用意される。デスクトップ向けが「Piketon」ならびに「Kings Creek」と呼ばれていた「Intel 5 Series Chipset」。モバイル向けが「Calpella」と呼ばれていた「Intel 5 Series-M Chipset」だ。
チップセットはデスクトップ向けの「Intel 5 Series」とモバイル向けの「Intel 5 Series-M」。この世代からメモリコントローラや統合グラフィックスがCPU側に内蔵されることになるため、従来とは構成が大きく変わってくる |
ほか、SSDに関するアップデートも紹介された。X25シリーズなど、現行の同社SSD製品では50nmプロセスに基づいたIntel NAND Flashを採用しているが、これを2009年中に34nmプロセスへと移行させる。細かな仕様等は追々公開、という段階だが、微細化により、一般的には記録容量の向上や省電力化、コストダウンといった効果が想定できる。
Centrino 2でWiMAXのサポートが本格化
先日、国内サービスが開始されたWiMAXでは、WiMAXモジュールを内蔵した「Centrino 2」モバイルPCが、7月以降に複数のメーカーから国内向けに登場する見通し。海外ではすでにはじまっていたCentrino 2のWiMAXモジュール内蔵だが、別途外付けの端末が必要無くなるため、WiMAXの普及が加速するという期待が集まっている。
UQ WiMAXがスタート。今年7月から有料サービスを開始し、2012年には人口カバー率90%以上を目標としている |
WiMAXモジュールを内蔵する「Centrino 2」搭載モバイルPCの登場は7月頃と見られる。普及の起爆剤となるか? |
なお、インテルでは同社の約200名の社員にUQコミュニケーションズのWiMAXモジュールを配布し、テストも兼ねて社内業務でのWiMAX利用を開始している。業務の生産性向上と、WiMAXを使った新たな利用モデルの考察に取り組んでいるとのこと。同社の吉田和正 代表取締役社長は、WiMAXの素晴らしさを発信できるようにしていきたいと話している。
Centrino 2のアップデートではまた、ワイヤレスの新機能として「My WiFi テクノロジー」が搭載される予定だ。同機能を搭載したノートPCを"ハブ"とし、無線LANと無線PAN(Personal Area Network)を同時利用できるようにするというもの。物理的に1つの無線LANアダプタを仮想的に2つに見せることで、一方では無線LANでインターネット、もう一方では無線PANで家庭内のWi-Fi機器と接続、といった使い方ができる。Wi-Fiアライアンスで標準化された技術のみで構成されているため、追加ハードウェアは不要とされている。
提供予定の「My WiFi テクノロジー」。様々な機器とのワイヤレスでの連携がより便利に。英語サイトになってしまうが、こちらで解説のイメージデモを見ることができる |