住宅金融支援機構はこのほど、「2008年度 民間住宅ローン利用者の実態調査(第3回)」を行い、その結果を発表した。同調査は借入者が利用した住宅ローンの金利タイプなどを調べるもの。調査は2月4日~9日の期間、民間住宅ローン借入者を対象にインターネット上で実施された。有効回答者数は1,030名。
調査結果をみると、調査対象期間(2008年11月~2009年2月)を通した利用では「変動型」が35.8%で、前回調査(2008年7月~10月)より0.5ポイント上昇した。借入先別でも都市・信託銀行が43.2%、地方銀行が43.6%と4割以上を占めている。また月別でみると、2月の「変動型」の利用割合が2005年に調査を開始して以来初の40%台となる45.1%を記録した。
2008年以降の欧米を中心とした金融危機や世界経済の減速に伴い、国内経済も利下げや景気後退が続く中、住宅ローン利用者による金利の先高感が大きく低下。返済負担の軽減を図るため「変動型」に乗換えたとみられる。ただし、同機構広報は「これ以上金利が下がることは考えられないことから、変動型の増加はあくまで一時的なもの。今後増え続けることはないのでは」と分析している。
今後1年間の住宅ローン金利については、金利の先高感が大幅に後退する一方で「ほとんど変わらない」と回答したのが38.9%(前回調査比11.9ポイント増)と最も多かった。また「変動はあるが、そのうち低下する」(12.8%)も前回調査(2008年10月実施)と比べて4.9ポイント増加し、楽観的な見方が増え、金利の先高感は一段と薄れてきていることも窺える結果となった。また、金利タイプ別では、変動型利用者で46.9%が「ほとんど変わらない」(同11.5ポイント増)と回答。「全期間固定型」「固定期間選択型」「変動型」のいずれにおいても金利先高感が大幅に薄れているのが目を引く。
住宅ローンを選ぶ理由では「金利が低かった」が72.7%と圧倒的1位となった。2位は「諸費用等が安かった」で26.4%。前回の3位から順位を上げており、同機構では、経済不況が続く中で家計の負担を下げるために生活防衛に努める意思がうかがえると推察している。