サムスン電子は、2月中旬に開催された携帯電話関連の見本市「Mobile World Congress 2009(MWC 2009)」で同社が発表した新端末を国内の報道関係者向けに公開し、今後の日本戦略について話した。
同社がMWCで発表したのは、いずれもタッチパネル採用のハイエンドモデルで、「Ultra Touch」「OMNIA HD」「BEAT Edition(BEAT DJ/BEAT DISC」の4モデル。同社は2008年からフラッグシップとなるモデルはタッチパネル搭載にすることを明言しており、それにフォーカスした製品となる。
サムスンDigital Media & Communications部門無線事業部日本輸出Groupの金松信統括部長は、現在の携帯業界が「世界的な金融危機などで悪い状況にある。先が見えないぐらい悪い」と指摘。これまで新調してきた携帯ビジネスが、今年は減少するという見込みだ。
そうした中、サムスンでは世界シェアを伸ばし続けており、2008年の出荷台数こそ、目標だった2億台には届かなかったものの、1億9,670万台を出荷し、シェア第2位を獲得した。多くのメーカーが出荷台数を落とす中、新興国向けの出荷が好調だったのが功を奏したそうだ。
日本市場ではまだ少ないタッチパネル搭載端末は、世界規模では急増しており、2009年には世界で1億台を超えると見ており、今後も同社はタッチパネルをフラッグシップに据えていく。
「タッチパネルは、ユーザーが楽しく使え、楽しい経験ができる」(金部長)が特徴で、写真、音楽、ビデオ、GPS、ゲームなどが、「すべてタッチでさらに楽しくできる」(同)という。
サムスンは、「市場のニーズがあるところは、それにあわせてどこにでも進出する」(同)考えで、従来のハイエンド重視の姿勢から、低価格端末を新興国向けに投入する方針に変更している。その結果シェアが伸張し、地域によってはシェアトップのNokiaに迫るところも出てきているそうだ。
また、Symbian、Windows Mobile、Linux、AndroidとほとんどのOSに対応して製品を開発する方針は継続。今年中にAndroid搭載端末も供給する。特にAndroidは、2009年「確実に伸びる」と見ており、「Androidでいい製品を作れる会社は多くはない」と述べ、サムスンの開発力に自信を見せる。
サムスンは総合電機メーカーとして、グループ内の資産をいかにうまく結合していけるか、という点を重視し、同社は組織改編を行ってグループ内の体制を強化している。「これらの力を全部携帯に集結して、いい携帯を作っていきたい」考えだ。
日本から撤退したNokiaについて金部長は、「それぐらい世界市場が厳しい証明」としつつ、Nokiaは日本市場にそれほど注力せず、UIなどのカスタマイズが足りなかったと指摘する。
サムスンでは、日本市場は最先端の市場で「いろいろな勉強ができる市場。学ぶところがたくさんある」として、日本での成功を重視していく考えだ。金部長は「(日本市場の)勉強は十分なので、これからはビジネス的にも成長していきたい」と意気込んでいる。
ただし、日本のマーケットがなにを求めているのか、「いろいろ悩んでいる」状況で、「生活の中で使って楽しくて意味があるというベネフィットを提供していきたい」考えだ。