Apple、Googleの参入でスマートフォン市場の戦いが激しくなる中、台湾Acerもこの戦いに参加することを表明した。2月16日(現地時間)、スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2009」の初日、Acerはスマートフォン8機種を発表、「モバイルデータでリーダーになる」と野心を見せた。
モビリティとデータはAcerのDNA
「今日はとても重要な日」とAcerのCEO兼社長 Gianfranco Lanci氏は言う。数か月前にスマートフォン市場への参入を決定して以来、急ピッチで開発を進めてきた。Lanci氏は、「モビリティはわれわれのDNA、モバイルコンピュータでは好位置に付けている」と自信を見せる。
戦略を説明したスマートハンドヘルド事業グループ担当上級副社長兼社長 Aymar de Lencquesaing氏は、このタイミングでスマートフォン市場に参入する背景について、スマートフォンというセグメントが確立され、年間成長率15%増という成長市場であることを挙げる。
目標はずばり、「モバイルデータ市場でリーダーとなる」(de Lencquesaing氏)こと。5年以内にスマートフォンメーカー・トップ5入りを目指すという。「野心的かもしれないが、ネットブックで我々はリーダーになった。モビリティとデータは得意分野で、(スマートフォン参入は)ごく自然の拡大だ」と述べる。
同日、第一弾として発表した機種について、「容量、カメラの品質、データの安全性などでまだ課題が残るが、今後対応していく」と話した。2009年に合計11機種を投入、2010年以降もラインナップを拡大していく。
買収したE-TENを開発チームに統合
いかにして野心的な目標を実現するのか。de Lencquesaing氏は以下の5つを示す。(1)適切な製品を適切な市場に投入すること、(2)ユーザーエクスペリエンスを優先、(3)ブランディング、(4)研究開発への投資、(5)専門のビジネス部門立ち上げ、だ。
2008年3月に買収を発表した台湾E-TENは重要となる。E-TENの約700人のエンジニアチームを研究開発とプロダクトマネジメントの両部門に完全に統合、専門知識をフル活用し機能を拡大する。ソフトウェアでは、ユーザーインタフェースで提携していくという。
すべてタッチ対応、Windows Mobile搭載
会場に設けられたブースでは、Acerの初代スマートフォンを見ることができた。今年前半に投入する5機種は「Windows Mobile 6.1」を搭載、3G/ Wi-Fi/ Bluetoothの無線通信をサポートする。
初代ラインナップの中でフラッグシップ端末と位置づけるのが「ACER F900」だ。GPSをサポート、タッチ対応の3.8インチWVGA画面、3.2メガピクセルカメラを搭載する。Windows Mobileの上に独自UIを搭載、容易に操作できるよう工夫した。
「ACER M900」はコミュニケーション端末として最適な一台。正面から見るとF900と同じだが、指紋認証機能が加わっており、スライド式QWERTYキーボードを搭載した。カメラは5メガピクセル、「Microsoft Windows Mobile 6.1 Professional」「Outlook Mobile」「Office Mobile」をプリインストールしている。
「ACER DX900」は、1台の携帯電話で2枚のSIMを使い分けられるユニークな機種だ。デュアルSIM、デュアルスタンバイで、SIM1/ SIM2/ Wi-Fiから通信方式を選択することができる。音声通話にはGSMのSIM、データ通信には3GのSIMを、あるいはプライベート用と仕事用など、さまざまな組み合わせで利用できるという。
「ACER X960」はストレートタイプの小型端末。2.8インチVGA画面を搭載、3.2メガピクセルカメラを持ち、GPSをサポートした。
「ACER F1」のF1は"Formula-1"のことで、スピードを特徴とする。米QUALCOMMの「Snapdragon」を搭載し、HSPAに対応する。5メガピクセルカメラを搭載しながら厚さ12ミリを実現した。
F900、M900、DX900、D900、F1は今年前半に投入する。
今年後半は「Windows Mobile 6.5」搭載機種も
ブースではこのほか、後半に投入する端末も一部展示していた。今年後半は合計6機種を投入する計画。プラットフォームは「Windows Mobile 6.5」を採用するという。Acerによると、日本のオペレータとも話をすすめているという。