曲作りに必要な機能がすべて揃ったDAW

パソコンを使い、自分ひとりでオリジナル曲を作ってみたい……そんなときに使うソフトがDAW(Digital Audio Workstation)だ。DAWにはギター/ベース/ドラムなど各楽器パートを複数のトラックとして作成し、エフェクトをかけ、ミキシングやマスタリングを行い、完成した曲をCDにするといった、音楽制作に必要な機能がすべて用意されている。まさにワークステーションの名に恥じない多機能ソフトだ。

「初音ミク」などボーカルソフトを使えばパソコンを自由自在に歌わせることができるが、ボーカルソフトはあくまでも"声"を生み出すだけで伴奏を付けることはできない。そこに物足りなさを感じているならば、次はDAWを使って伴奏を作り、ボーカルとミキシングを行えば、完全なオリジナル曲の完成となる。VocaloidシリーズでDTMに興味を持った人がステップアップする"次の1本"としても、DAWは最適だろう。

ただしDAWはプロも使う高機能ソフトだけに、最初はその操作方法がわからず戸惑うかもしれない。高価なソフトを購入しても使いこなせなかったら……という心配から、二の足を踏んでいる人もいるだろう。そんな人に注目してほしいDAWが3月に新発売される「Music Maker 2 Producer Edition」(以下Music Maker 2)だ(図1参照)。このソフトはDAWに求められる機能を一通り搭載し、なおかつ音楽の基礎知識がない初心者でも簡単に曲作りが楽しめる機能が用意されている。どんなソフトなのか、早速チェックしてみよう。

図1

手ごろな価格で本格的な機能を備えたMAGIXのDAW「Music Maker 2 Producer Edition」

シンプルなインタフェースで誰でも曲作りができる

Music Maker 2には、いわば「標準モード」とでもいうべき従来通りのインタフェースと別に「イージーモード」という新機能が搭載されている。イージーモードは一部機能の設定を非表示かつ固定にするなど煩雑な操作を廃して直感的に曲制作が出来るモード。Music Maker 2では、これらふたつのモードを切り替えて使うことができる(図2参照)。

図2

「イージーモード」オフの状態では、前バージョン「Music Maker Producer Edition」と同じインタフェースで、Music Maker 2の機能をフルに活かせる

イージーモードオフの状態ではウィンドウ下側にさまざまな機能が用意されており、用途に合わせて表示を切り替えるのだが、イージーモードを有効にすると「サウンドプール」というもののみがシンプルに表示される(図3参照)。これはMusic Maker 2にバンドルされている音楽素材を表示するブラウザだ。

図3

トラックリストの左上に用意された「イージーモード」をクリックするとイージーモードが有効となり、簡単な操作での曲制作が可能となっている

イージーモードではこの素材をトラックへ貼り付けるだけで、オリジナル曲が作れてしまう。まずは使う素材を選ぼう。Music Maker 2では実に3500種類以上もの素材がバンドルされているが、このサウンドプールでは「スタイル」(音楽ジャンル)と「楽器」を選ぶことで自動的に絞込みが行われ、また一覧表示された素材をクリックすればすぐにプレビュー再生が始まる(図4参照)。それにより、イメージに合った素材をスムーズに探すことが可能となっている。

図4

「スタイル」と「楽器」で探している素材を絞り込み表示。一覧表示された素材をクリックするとプレビュー再生が始まり、聴きながらイメージしている楽曲に合った素材を探すことができる

素材が決まったら、トラックへドラッグ&ドロップするだけで簡単に貼り付けることができる(図5~6参照)。ひとつだけではただギターやベースが単音で鳴っているだけだが、イントロやAメロ、サビといった曲の構成を考えながらさまざまな楽器の素材を複数貼り付けてみると、徐々にオリジナル曲らしくなってくる。元の素材はそれぞれバラバラのテンポで作成されているのだが、Music Maker 2は自動でアレンジメント(曲全体)のテンポに合わせてくれるため、細かいことは考えずにただ気に入った素材を貼り付けていけばよい。

図5 図6

使いたい素材をサウンドプールからトラックへとドラッグ&ドロップする。左右位置を調整すれば、その素材の演奏タイミングも変わる

トラックに貼り付けられた素材。プレビューして選び、ドラッグ&ドロップして貼り付けという手順を繰り返し、さまざまな楽器パートを作っていく

とにかく操作は全体的に簡単かつわかりやすく、短い素材を曲に合わせて繰り返したいときはその素材の端をドラッグして長さを変えるだけ(図7参照)。それぞれの素材のボリュームを調整して「ドラムを引き立たせたい!」といったときも、マウス操作だけで可能だ(図8参照)。

図7 図8

このように楽器ごとにトラックを分け、各素材を貼り付けていくと曲の構成もわかりやすくなる。短い素材を繰り返すときはドラッグして長さを変えるだけだ

貼り付けた素材にマウスポインタを合わせると赤いラインが表示され、上下することでボリュームを調整できる。ラインの左端/右端を左右にドラッグすればフェードイン/アウトさせることも簡単だ

このように素材を並べて貼り付けていくだけでオリジナル曲が作れてしまうイージーモード。聴いて気に入った素材を並べるだけなので音楽知識は必要なく、操作もとにかく簡単だ。またイージーモードではウィンドウ左下に「情報ボックス」が用意されており、各ボタン等にマウスポインタを合わせると、その機能がすぐにわかるようになっており、とても親切だ(図9参照)。細かいことだが個人的には、ドラムやギターといった各素材をトラックへドラッグ&ドロップして貼り付けると、トラック名とアイコンが自動で設定されるのも便利に感じた(図10参照)。なお操作に慣れたならばイージーモードをオフにして細かく設定・操作できるので、自身の成長に合わせて使い分ければよいだろう。

図9 図10

Music Maker 2の各機能がすぐに表示される「情報ボックス」

トラック名、そしてそのトラックを視覚的に理解しやすくするアイコンは手動設定ももちろんできるが、貼り付けた素材に合わせて自動的に設定されるのはなかなか便利だ