米Intelと米NVIDIAが2004年に締結したチップセット・ライセンス合意について、米国時間の2月16日にIntelが新世代のCPUを範囲外とする判断をデラウエア州の裁判所に求めた。これに対してNVIDIAは18日に、「現在出荷されているNVIDIAのチップセットに影響を与える訴訟ではない」と現行製品に対する不安を払拭するコメントを公開。訴訟を通じてIntelはGPU主導のプラットフォーム技術の台頭を抑制しようとしていると反論した。

2社は2004年11月に、Intelのフロントサイド・バス技術をNVIDIAにライセンス供与し、NVIDIAの3DやGPU技術などに関する特許へのIntelのアクセスを認める複数年のクロスライセンス契約を結んだ。その結果NVIDIAはIntel CPUをサポートするチップセットの提供が可能になり、さらにSLI、Hybrid Power、CUDA、開発中のIONなどのPCプラットフォーム技術を展開してきた。

16日に提出した訴状においてIntelは、2社の2004年の合意がNehalem(Core i7)のようなメモリーコントローラが統合された新世代のCPUにまで拡大できる内容ではないと主張しているという。NVIDIAのCEOであるJen-Hsun Huang氏は「ライセンスは、われわれが交渉した通りに適用されると確信している」とした上で、「この問題の核心は、PCの将来を切り開く役割がCPUからGPUへ急速にシフトしている点にある。衰退するCPUビジネスを保護するためにイノベーションを阻害しようとしているのは明らかだ」と指摘している。さらに「今日のNVIDIAのプラットフォーム技術の成長を考えれば、PCプラットフォームをコントロールする役割を脅かされ始めたIntelが4年前に合意した契約に異議を唱え始めても驚かない」 (NVIDIA)と手厳しい反論が続く。ただし最後に「NVIDIAは、Intelとの意見の相違を公正かつ正当な形で解決できるように努める」(同)と両社のパートナーシップの継続に努力する意向を示している。

NVIDIAはユーザーに対して「IntelのCPUバス・インターフェイス向けに提供されている現行のNVIDIAチップセットは、今回の論争の影響を受けない」というメッセージを送っているが、Nehalem以降のIntel CPUにおける両社のパートナーシップが不透明になってきたのも事実である。裁判所の判断が注目される。