Booksベストセラー週間総合ランキング2月6日~2月12日では、『モデル失格』(押切もえ)および『還らざる道』(内田康夫)の2タイトルが新登場でトップテン入りした。

■2月6日~2月12日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)
順位 書籍名(出版社) 著者
1位 読めそうで読めない間違いやすい漢字(二見書房) 出口宗和
2位 「脳にいいこと」だけをやりなさい!(三笠書房) マーシー・シャイモフ/茂木健一郎訳
3位 男道(幻冬舎) 清原和博
4位 モデル失格(小学館) 押切もえ
5位 告白(双葉社) 湊かなえ
6位 オバマ演説集(朝日出版社) バラク・オバマ/CNN English Express編集部
7位 悼む人(文藝春秋) 天童荒太
8位 オバマ大統領就任演説(朝日出版社) バラク・オバマ/CNN English Express編集部
9位 利休にたずねよ(PHP研究所) 山本兼一
10位 還らざる道(祥伝社) 内田康夫

新登場で4位に入った『モデル失格』(押切もえ)は、トップモデルとしてファッション雑誌のほかテレビやCMなどでも活躍している押切もえによる初の書き下ろし作品。モデルとしてのコンプレックス、不遇の時代、絶頂期の事故などたくさんの挫折や苦労を乗り越えて今の地位を築くに至った自身の経緯を描いている。幸せの秘訣として自身をポジティブにさせる方法にはユニークな視点が含まれており、押し付けがましくなく素直に読めそうな一冊になっている。

10位にランク入りした『還らざる道』(内田康夫)は、「浅見光彦シリーズ」と呼ばれる探偵モノ推理小説の新書版。単行本としては06年に発行されている。観光カリスマなる人物の新聞記事を持った男の他殺体が湖に上がったところから話が始まる。男は「最後の旅に出る」との手紙を残していた。手紙の意味、新聞記事の意味、そして決して過去を語らなかったという彼の生前の行動の意味―これらがひとつにつながる時、さらなる謎が生まれる。

今週の注目

少女(早川書房/湊かなえ/1,400円(税別)

ベストセラーになったミステリー小説「告白」の作者による長編ミステリー小説第2弾。テーマとしてまたも「死」を扱っている。

小説は、友人同士であるふたりの女子高校生による視点で描かれ、交互に進んでいく。彼女らはふとしたことから「人間の死」に興味を持つ。目の前で人の死を見た人は生と死を悟っているように思え、うらやましく感じたからだ。彼女たちは「人の死ぬ瞬間を見てみたい」とそれぞれ思うようになり、病院と老人ホームで人の死に近付こうとする―。

話の展開にはテレビドラマ的な都合の良さも見られるが、無関係に見えた要素が終盤に次々とつながっていく様は小気味良い。また、予想外の展開に驚かされ、思わずページを戻って話の筋を確認してしまうことも一度や二度では済みそうにない。登場人物ふたりの関係の描き方も思わせぶりだ。友人でありながらもどこかふたりの間に漂う不穏な空気が、結末に向けて演出効果を高めている。なお私は、語り手が登場人物のどちらだったか途中で何度かわからなくなってしまった。いろいろな意味で、登場人物が少ない割りには最後の最後まで気を抜けない小説と言えるだろう。