東芝と富士通は2月17日、富士通の持つHDD事業を東芝へと譲渡することで合意したと発表した。2009年第1四半期内での事業譲渡完了を目指す。金額等の詳細については明らかにされていない。富士通はサーバ向けHDDと2.5インチHDDでは世界シェアの2割近くを占める大手。一方の東芝は2.5インチや1.8インチといった小型機器向けやSSD製品を得意としており、富士通のHDD事業の吸収で小型HDDの世界シェアトップの地位を固めるのが狙い。
譲渡対象となる富士通HDD部門は新たに設立される新会社へと移管され、同社株の80%を東芝、20%を富士通が保有し、東芝のグループ会社に組み込む形態をとる。さらに一定期間が経過した後、残り20%の株式を東芝が取得して100%子会社とする。東芝によれば、株式の持ち合いは事業譲渡を円滑に行うための措置で、2015年にはHDD市場全体で20%超のシェア獲得を狙う。また東芝のNANDフラッシュ技術と富士通のエンタープライズ向けHDD技術を組み合わせることで、サーバ向けの高性能SSD開発を目指す。
なお、今回の事業譲渡の対象となるのはHDD部門のみで、HDDを構成するヘッドやメディア(プラッター等)の事業は含まれない。具体的には富士通本体のHDD部門のほか、製造拠点のフィリピンとタイの現地工場、山形富士通および富士通研究所のHDD部門、そのほか海外の販売拠点が対象となる。富士通は今年1月27日にヘッド事業からの撤退を表明しており、新会社のメディア調達先は東芝HDDと同じ昭和電工に統一されるとみられる。