米Advanced Micro Devices (AMD)の製造部門切り離しの是非を問う株主投票で、必要十分な賛成票を集められなかったと、経済紙の米Wall Street Journal (オンライン版)が10日(現地時間)付けの記事で伝えている。またAMDでは10日、臨時の株主総会の開催を18日へ延期すると発表。同日のニューヨーク株式市場は米政府の金融対策法案の内容に対する失望売りからDow平均で-4.62%、Nasdaqで-4.20%と全体に大幅な下落を見せているが、AMD株価はそれをさらに下回る-10.59%の水準で取引を終えている。
AMDは2008年10月7日、アブダビ首長国の投資会社ATICから資金を受け入れて半導体製造を専門に行う「The Foundry Company」の設立を発表している。大きなコスト負担となっていた製造部門を切り離し、自身は半導体設計に専念するという、いわゆるファブレスメーカーへの移行を目指している。今回の株主投票はその同社立て直し策の第1歩となる。AMDによれば10日時点ですでに全体の42%の投票が済んでおり、WSJへの回答でそのうちの97%が分社化への賛成票だったとコメントしている。そのため今回の延期措置も、最終的な議決に必要な票を集めるために時間に余裕を持たせた結果だと説明する。
WSJではアナリストらのコメントを引用して来週には可決される可能性が高いとしているものの、必ずしもいい前兆というわけではないようだ。金融危機に端を発する形で、Intelの業績悪化を筆頭に、QimondaやSpansion Japanの破綻など、半導体業界を取り巻く情勢は依然厳しい状態にある。製造部門の分離でAMDのバランスシートは改善されることになるが、再建までの道のりはまだ始まったばかりだといえる。