ASP変動率の大幅低下で売り上げ減

DRAMベンダのエルピーダメモリは2月6日、2009年3月期(2008年度)第3四半期(10-12月)の決算概要を発表した。

それによると、売上高は携帯電話やデジタル家電向けのプレミアDRAMが前四半期比46.5%減、前年同期比53.5%減の271億円、PC向けのコンピューティングDRAMが前四半期比44.9%減、前年同期比3.0%減の347億円の計618億円となった。これは、ビット成長率が前四半期比で5%伸びたものの、ASP変動率が同44%減となり、「ビット成長が伸びたものの価格の下落の影響が大きかった」ことを理由としている。

また、売上総損益は、前年同期の52億円の利益から同429億円の損失へと転落した。営業損益は前年同期の89億円の損失から579億円の損失へと赤字幅が拡大したほか、経常損失も同128億円の損失から661億円の損失へと拡大、純損失も121億円の損失から、訴訟和解引当金繰入額54億円を計上するなどした影響もあり、723億円の損失となった。

2008年度第3四半期の概況

分野別の売上高構成比は、前四半期とほぼ同等のプレミアDRAM44%、コンピューティングDRAM56%だが、「携帯電話、デジタル家電向けの需要減少の影響が大きく、代わりにPC向けにDRAMを出荷したが、価格下落の影響を受けた」とのことで、比率は従来とほぼ同等でも、その内容は違っているという。

分野別売上高構成比の推移

なお、同社では、こうした状況を踏まえ、コスト構造の見直しを図る考えで、開発品種の絞込みによる研究開発費の圧縮のほか、役員報酬および管理職の月例給与の最大50%減額を2009年2月から12月もしくは月次黒字化までの施策として行うことを明らかにした。

また、資本増強に向けた施策としてのCB転換をすでに実施済みなほか、3月に台湾のRexchip Electronicsの連結子会社化を実施する予定。

加えて、取引先企業への出資要請なども行っていくとしたほか、産業活力再生特別措置法(産業再生法)についても、「事業体室強化の面では、スキームができることは望ましいこと。ただ、当社が申請するかどうかは現時点で決まっていないが、スキームが決まった後であれば選択肢となる可能性もある」(同社 代表取締役社長 坂本幸雄氏)とし、「欧米や台湾、韓国でも企業への公的資金の注入が進んでいる。日本もようやくそういった話が出てきた」とする。さらに、懸案となる可能性のある財務制限条項については、「現時点ではこの問題は解決できるものと考えている」(同)とし、「現在、100年に1度の経済危機と言われているが、我々はこれを100年に1度の好機として捉えていく」(同)と、攻めるところでは攻めていく姿勢を打ち出した。