マイクロソフトは5日、Webブラウザ「Internet Explorer」の最新版である「Internet Explorer 8」の製品候補版(RC)において、国内主要21社がIE8の新機能に対応したと発表した。本日から新サービスの利用が可能になっており、今後さらなる拡大が見込まれている。IE8の正式版のリリース時期は現時点で未定。
IE8の新機能として追加されているのは「アクセラレータ」「Webスライス」「検索候補」の3種類。21社はこのいずれかの機能をサポートし、80以上のサービスが提供されるという。
アクセラレータは、サイト内の文字列を選択すると表示されるアイコンをクリックすると、選択文字列に従って商品名だったらその価格、住所だったらその地図などを、小窓として表示する。別サイトに移動することなく結果が表示されるので、より素早く情報にアクセスできるようになる。
gooのアクセラレータ。文字を選択してカーソル付近に表示されるアイコンクリックから素早く検索できる |
同様にYahoo!でも辞書をアクセラレータとして提供。選択文字列に応じてどの辞書を使うかは自動選択される |
Webスライスは、サイトの一部を切り取ってブラウザ上部のお気に入りバーに格納。サイトにアクセスしなくても最新情報を閲覧できる。単に画面を切り取るのではなく、サイト側が切り取る情報を制御できるほか、Silverlightと連携し、インタラクティブな操作や動画の再生にも対応する。
検索候補は、ブラウザ右上にある検索ボックスに入力した語句にあわせ、検索候補をリアルタイムに表示する機能で、検索語の一部を入力した時点で検索できる。検索結果にはサムネイル画像を表示することも可能だ。
これらの機能はアドオンとして提供され、サイト側の対応が必要だが、国内だけでも21社が対応。同社の中川哲ビジネスWindows本部本部長は、企業側の問い合わせは多く、今後さらに増える見込みだという。
同社では、5日から「Internet Explorer アドオンギャラリー」のサイトを新設し、上記3機能に対応したアドオンを一元的に提供。アドオンは法人だけでなく個人も作成、提供が可能。サイトにはレビュー機能もあり、ユーザーの評価を参照することもできる。
5日時点で提供を行っているのはウェブリオ、エキサイト、NECビッグローブ、NTTレゾナント、カービュー、カカクコム、ぐるなび、サイバーエージェント、ソニー・ミュージックエンタテインメント、テレビ朝日、ドワンゴ、ニフティ、百度、マイクロソフト、メタデータ、ヤフー、USEN、ライブドア、楽天、リクルート、レーベルゲートの各社。
これらの新機能はコンシューマ向けだけでなく、ビジネスユースでも有効で、社内の在庫情報などをWebスライスで社員に常時提供するといった使い方も想定されている。中川本部長は、「便利なサービスが増えていくほど、ユーザーの利便性向上につながる」として、開発者には新機能への対応を期待する。同社では、開発に必要な情報も随時提供していく考えだ。
また、現在は正式版ではないとはいえ、RC版として安定性やセキュリティが向上しているとし、エンドユーザーにも積極的に利用を促す。
IE8は昨年8月にベータ版の提供が開始され、今年1月にRC版が登場した。すでにベータ版は「非常に多く使ってもらっている」(中川本部長)状況で、問い合わせも多いという。ベータ版の時点で新機能の搭載は済ませてあり、今回のRC版では特に安定性とセキュリティの向上に注力したという。
その中で、履歴を残さないで利用できる「InPrivate」機能では、ブラウザヘルパーとして動作するセキュリティツールも無効になるという仕様が明らかになっている。これに対してコマーシャルWindows本部シニアプロダクトマネージャの原田英典氏は、こうしたセキュリティツールを利用しなくてもセキュアに動作することを目指しており、逆に従来はサードパーティのツールバーに履歴が残ってしまうという問題があったということで、今回の仕様は仕方がないという位置づけのようだ。
また、RC版では新たに登場したセキュリティ問題である「Click Jacking(クリックジャッキング)」への対策も加えられており、現時点では今回の対策で「クリックジャッキングには対応できる」(原田氏)という。
そのほか、IE8ではOpenSearchやHTML5などといったWebの最新規格への対応も進んでおり、標準への準拠が進展している。逆に、IE8で表示が乱れるようなサイトに対してはIE7との互換表示モードを用意することで対策を行っている。
また、企業のシステムなどでの動作検証に向け、Microsoft Updateなどでの自動更新をブロックするツールも、ユーザーの要望次第では提供予定だという。
正式版の登場時期については、「なるべく早く」(原田氏)というスタンスだが、現時点では未定ということだ。