文部科学省は1月30日、小中学校への携帯電話持ち込みを原則禁止すべきだとする通知を、各都道府県教委に対して行った。同省が同日発表した全国の公立小中学校における調査結果では、小学校の約94%、中学校の約99%は学校への携帯電話持ち込みを原則禁止。だが、あらためて通知せざるをえない点をみると、これまでの禁止方針は形骸化していたといえる。
高校においても「校内での使用を禁止」すべきと通知
文部科学省では1月30日、小中学校への携帯電話持ち込みを原則禁止する指導方針を定めるべきだとして、各都道府県教委に対して通知。
ただし、携帯電話を緊急の連絡手段とせざるをえない場合などのやむを得ない事情がある場合は、「保護者から学校長に対し、児童生徒による携帯電話持ち込みの許可を申請させるなど、例外的に持ち込みを認めることも考えられる」としている。
同通知では高校についても、「携帯電話は、学校における教育活動に直接必要のない物であることから、授業中の生徒による携帯電話の使用を禁止したり、学校内での生徒による携帯電話の使用を一律に禁止したりするなど、校内における生徒の使用を制限すべき」としている。
「原則禁止」は小学校94%、高校20%
文部科学省では2008年12月、塩谷立文部科学大臣が、「(携帯電話を)学校に持って行くこと自体が必要なのか。それに伴う弊害のほうが明らかに多いと思うので、実態調査を行いたい」と携帯電話使用の実態調査を行う意向を示したことを受け、調査を開始。今年1月30日に結果を公表した。
調査対象となったのは、全国の公立小学校2万1,800校、公立中学校1万45校、公立高校4,455校。「校則などにより児童生徒による学校への携帯電話の持ち込みを原則禁止しているか否か」「学校における携帯電話の取り扱いをどのようにしているか」について質問を行った。
これによると、「原則禁止している」と回答したのは、小学校が2万527校(全体の94%)、中学校が9,936校(同99%)、高校が887校(同20%)。
携帯電話の持ち込みを原則禁止としているか | はい | いいえ |
---|---|---|
小学校 | 20,527 | 1,273 |
中学校 | 9,919 | 104 |
高校 | 878 | 3,562 |
中等教育学校(前期) | 17 | 5 |
中等教育学校(後期) | 9 | 6 |
小中学校ではほとんどの学校が携帯電話の持ち込みを原則禁止にしていることが明らかとなった。
「一定の理由・事情に限って許可」も半数占める
「原則禁止している」と小中学校のうち、「一定の理由・事情に限って、家庭からの申請により学校への持ち込みを認めている」としたのは、小学校が1万1,203校(55%)、中学校が5,014校(51%)。
「機能を限定した機種に限って、家庭からの申請により学校への持ち込みを認めている」としたのは、小学校が433校(2%)、中学校が81校(1%)だった。
「原則禁止」と答えた場合 | 小学校 | 中学校 |
---|---|---|
一定の理由・事情に限って、家庭からの申請により学校への持ち込みを認めている | 11,203 | 5,014 |
機能を限定した機種に限って、家庭からの申請により学校への持ち込みを認めている | 433 | 81 |
例外は認めていない | 7,922 | 4,533 |
その他 | 969 | 291 |
また、高校については、「持ち込みを認めているが、授業中の使用を禁止している」との回答が2,525校(同57%)、「持ち込みを認めているが、学校内での使用を禁止している」が798校(同18%)で、小中学校に比べ、緩やかな対応をしている学校も多かった。
半数の都道府県教委は指導方針を決定
文部科学省ではこれらの調査に併せて、47の都道府県教育委員会と1,826の市町村教育委員会への調査も実施。
「教育委員会において、所管学校に対する指導方針として児童生徒による学校への携帯電話の持ち込み禁止などを定めているか」「教育委員会の方針はどのようなものか」について質問した。
これによると、「教育委員会として、携帯電話の持ち込みなどについて指導方針を定めている」都道府県教委は約51%(24教委)。
うち、「原則持ち込み禁止」としている教委は、小学校約29%(7教委)、中学校33%(8教委)、高校約13%(3教委)だった。
市町村教委に関しては、「「教育委員会として、携帯電話の持ち込みなどについて指導方針を定めている」教委は約28%(510教委)。
うち、「原則持ち込み禁止」としている教委は、小学校約90%(461教委)、中学校約90%(460教委)で、都道府県教委に比べ、指導方針を定めている市町村教委は原則持ち込み禁止にしている割合が高いことが分かった。