昨年、惜しまれながらも現役を引退した元日本代表の名波浩が、WOWOWで放送された、リーガ・エスパニョーラ第20節の「マジョルカ×バレンシア」戦(1月26日)で、引退後初のテレビ解説を行った。「現役時代よりも緊張しました」と語る名波に、リーガ・エスパニョーラやサッカー像などを聞いてみた。
――初めてのテレビ解説はいかがでしたか?
名波浩(以下、名波) : 「細かく気付いたところをポンポンと言ったつもりなんですけど、サッカーの奥深さやスペインリーグの面白さを言葉で言い表せたかな? と振り返ると反省の方が多かったですね。現役時代より緊張しましたよ(笑)」
――「マジョルカ×バレンシア」の試合をご覧になり、どのようにお感じになりましたか?
名波 : 「最下位だったマジョルカがホームということでキックオフ直後から自信を持ってプレーしていましたし、ゲームプラン通りの戦い方だったと思いますね。それをバレンシアが受けてしまったというか、中盤の展開力を上手く生かせなかったので、その辺が3対1と敗れた原因と思います」
――気になったプレーヤーはいましたか?
名波 : 「マジョルカの10番、フラード。彼の若さ溢れるスピードを生かした突進力、またゲーム展開を読むパス、ボディバランス、そういうものは非常に秀でた能力を持っていたと思いますね」
――同じレフティーということで、バレンシアのマタ選手やシルバ選手はいかがでしたか?
名波 : 「エドゥーが居ることにで前後のボールの出し入れがスムーズに行くと思ったんですが、シルバへのマークがきつく、前半なかなか思うようなタイミングでボールをもらえませんでした。後半はビセンテを左サイドに入れて、バラハが入り、徐々にシルバもボールに触れることができてましたね。元々シルバはシンプルにプレーしながらゴール前に入って行くタイプ。それが徐々に生きてきた中での得点だったと思いますね。彼は日本人と同じような体型。前向きの選手をとにかく使いながら、自分はゴール前に入って行ったり、サイドに流れて行ったりしたので、人を使いながら組織として崩して行くというのが体に染み付いているな~と思いました。そういう点は日本のサッカーには非常に役に立つ教材だと思いますけどね」
――リーガ・エスパニョーラで注目しているプレーヤーを挙げて下さい。
名波 : 「得点王争いをしている選手であれば、バレンシアのビジャ。彼はユーロの時から注目していて、あの身長と身体能力でも点の取れるポイント、またシュートセンス、そういうものを兼ね備えています。日本人でも出来るんじゃないかと思わせてくれるプレーヤーですので、今後も注目していきたいですね。自分と同じ中盤のポジションならば、シャビ(バルセロナ)とかセナ(ビジャレアル)といったユーロで活躍した選手は今後も追いかけていきたいです」
――リーガエスパニョーラを含めた海外リーグの魅力についてお聞かせ下さい。
名波 : 「リーガはボールを非常に大切にしながら"攻撃! 攻撃! 攻撃!"という、そういう考えを持ちながらゴールに迫って行くところにスリリングを感じますよ。特にゴール前はスリリングですね。ヨーロッパの主要リーグは、組織も洗練されていて、その中でもキラ星のように輝く選手たちの個人の技量が90分の中で何度も見れるというのは非常に魅力的。それ以外の海外のリーグであれば、Jリーグにない激しさだったり、マニアックなサポーターの動きだったりベンチワークだったり、色んな変化を見ることが出来ます。非常に楽しいリーグですよ」
――スペインと言えば、2001年に日本代表がスペインで親善試合を行いました。その時の思い出話などをお聞かせ下さい。
名波 : 「スペインの前にフランスと試合をして、0‐5という大敗でした。スペイン戦もアウェーということで乗り込みましたが、アジア王者としてではなく、超下っ端のチャレンジャーみたいな感じで挑みました。試合展開としては日本の思い通りのゲームプランでしたね。ただスペインが前半と後半でほとんどメンバーを入れ替えていたので、一概に力関係は言えませんが、終了間際までは非常にいい戦い方ができました(結果的に0-1で日本が敗れる)。僕にとってスペイン戦に悪い思い出はないですよ」
――最後にファンに対してメッセージをお願いします。
名波 : 「私名波浩は、14年間という現役生活を昨年をもちまして引退することになりました。今後は日本サッカーのために、そしてジュビロ磐田のために色んなところで貢献していきたいと思います。また皆さんとは色んな場でお顔を会わせると思いますが、今後とも末永く応援よろしくお願いします!」
WOWOWでは現在、リーガ・エスパニョーラ第21節を放送中。2月3日は、5:00よりスポルティング・ヒホンvsセビリア戦を、17:00よりヌマンシアvsレアル・マドリード戦をおくる。