「円高還元」や「生活応援価格」など、最近やけに目につくのがスーパーの「赤札」。小麦や原油といった原材料費の高騰で昨年は値上げラッシュが続いた食料品だが、最近のスーパーは値下がりムードでいっぱいだ。でも実際何がどれぐらい下がっているのかいまいち分からないのが実情。私たちの生活に直結する食品価格の「いま」と「これから」を探ってみた。

千葉県内で3店のスーパーを展開するカドヤ食品。常務の高坂泰明さんは「食品によってまちまちなのですが」と前置きした上でこう話した。「スナック菓子や即席めんなどの加工食品の仕入れ価格は昨年メーカーが値上げをしたままほとんど変わっていません。また、政府から製粉会社への小麦の売り渡し価格の改定は年に2回しかなく、次は4月ですから実際値下がりが始まるのはもう少し先の話です」。

ならば、円高による値下がりはどうか? 輸入品としてすぐに思い浮かぶ果物だが「確かに円高で安くなっているものもありますが、実際のところは需要と供給の問題の方が大きく値段に影響している感じ」とのこと。カリフォルニア産のオレンジは不作で高く、バナナは「バナナダイエットブーム」がおさまりだぶつき気味で安いという。一方、「最近安いもの」として高坂さんが挙げたのは米国産豚肉とオージービーフ。昨年に比べ1割5分も下がっているそうだ。

26品目中値下がりは16品目、全体としては値下げ傾向

「神戸市物価モニターによる生活必需品価格調査」は、市民モニター150人が普段利用する小売店に足を運び食品や日用品の価格を調べ、その平均価格を出したもの。消費者の"生"の感覚ともいえるものだ。例えば最新の発表データ(昨年12月)を同年8月のものと比較すると、生鮮食品を除く食品26品目のうち、下がっているのは豚肉、牛肉、マーガリン、レギュラーコーヒーなど16品目。一方値上がりは、昨年国際相場が急騰し、政府が売り渡し価格を大幅に引き上げた小麦が原料の小麦粉や即席めんのほか、かまぼこ、ロースハム、米、みそなど計9品目。牛乳は同じ値だった。かまぼこの値上がりは「燃料費が高騰したことと、スケトウダラなどの原材料となる魚の漁獲量が減っているなどが理由」(千葉県水産練製品工業協同組合)という。

また、農林水産省が21日に発表した加工食品小売価格調査結果では、1月第2週(1月13日~1月16日)の加工食品の価格は4週間前と比較して16品目中10品目で下落している。これらのデータからは、食品価格は全体的に値下がり傾向にあることが確かに読み取れる。

生鮮食品を除く食料品(26品目)の平均価格指数の推移―神戸市市民生活部消費生活課

通常店頭価格の全国単純平均値の動き―農林水産省調べ