"不況どこ吹く風"といった盛り上がりの「第1回 国際カーエレクトロニクス技術展」(1月28~30日、東京ビッグサイト)。なかでも電気自動車展示コーナーは大盛況で、スクーターと同じような扱いの原付タイプと、軽自動車タイプの2種類4台の個性的な電気自動車が並べられていた。それらのスペックと、"非公開的"な話題について紹介しよう。
ゼロスポーツ「ゼロEVエレクシードRSリチウムイオン電池仕様」
ゼロスポーツは、すでにシール型鉛電池仕様のゼロEVエレクシードRSを受注生産販売しているが、今回はその車体にリチウムイオン電池を搭載したタイプを参考出品した。F1で採用されているドライブ・バイ・ワイヤシステムを導入したスポーツタイプの1人乗り小型電気自動車だ。リチウムイオン電池化することで、同社関係者は「大幅な軽量化を達成でき、加速性能と航続距離がアップした。市販化の予定は今のところないが、鉛電池仕様と比べれば間違いなくそれより価格は高くなるだろう」と話す。
ゼロEVエレクシードRSシール型鉛電池仕様(市販タイプ) | |
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種類 | 第一種原動機付自転車(4輪) |
全長×全幅×全高 | 2,480×1,295×970mm |
空車重量 | 430kg |
乗車定員 | 1人 |
最高速度 | 60km/h |
一充電走行距離 | 70km(30km/h定地走行) |
電動機種類 | 直流直巻電動機 |
電池種類 | シール型鉛電池 |
充電時間(100%) | 8時間(AC100V) |
車両本体価格(税抜) | 198万円 |
トヨタ車体「コムス(デリバリータイプ)」
こちらも第一種原動機付自転車(4輪)の部類に入る、トヨタ車体のEV。同社関係者によると、このタイプのEVは、宅配業者などが購入し、個人ユーザーは1割という状況で、次は行政への販売PRを視野に入れた2人乗りタイプを計画しているという。行政向け車両に注目する理由は、「お役所の人たちが外回りへ出かけるときは、2人で行く割合が高いから」と話す。2人乗りでリチウムイオン電池搭載の次世代コムスは、「なんとか150万円以下におさえたいところ」という。
コムス(デリバリータイプ) | |
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種類 | 第一種原動機付自転車(4輪) |
全長×全幅×全高 | 2,250×995×1,600mm |
空車重量 | 310kg |
乗車定員 | 1人 |
最高速度 | 50km/h |
一充電走行距離 | 35km(市街地走行) |
電動機種類 | 永久磁石型同期電動機 |
電池種類 | 密閉型鉛電池 |
充電時間(100%) | 8時間程度(AC100V) |
車両本体価格(税抜) | 82万5,000円 |
タケオカ自動車工芸「参考出品(市販予定車・形式T10)」
タケオカ・ミニカーシリーズで知られる富山県のメーカー・タケオカ自動車工芸が参考出品したクルマは今年中に市販化される模様だ。「ミリューRなどの市販化された電気自動車のユーザー層は、高齢の人がほとんど。公共交通の充実していない郊外地域の人たちが、病院へ行くような場合に利用するようだ。価格は、100万円以上はいかないと思うが、100万円に近い額になるだろう」と同社関係者は話す。
参考出品(市販予定車・形式T10) | |
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種類 | 第一種原動機付自転車(4輪) |
全長×全幅×全高 | 2,240×1,180×1,440mm |
空車重量 | 290kg |
乗車定員 | 1人 |
最高速度 | 55km/h |
一充電走行距離 | 50km(市街地走行) |
電動機種類 | 直流分巻電動機 |
電池種類 | シールド型鉛蓄電池 |
充電時間(100%) | 8時間(AC100V・200V兼用) |
車両本体価格(税抜) | 未定 |
オートイーブィジャパン「ジラソーレ」
イタリア語で「ひまわり」を意味する「ジラソーレ」は、イタリアで誕生したEVで、軽自動車の枠に入るクルマだ。サイズもほかの3台よりもひとまわり大きく、定員も2人となる。"日伊共同開発"をウリとし、外観もPR作戦も華やかだが、タイヤなどの主要パーツ類がすべてイタリア・サイズとなるので、メンテナンス時に発生するパーツ注文の際は遠くイタリアから取り寄せなければならない。同社関係者は「2007年から販売を開始してすでに130台が日本の道路を走っている」と話す。
ジラソーレ | |
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種類 | 軽自動車 |
全長×全幅×全高 | 2,345×1,260×1,510mm |
空車重量 | 450kg |
乗車定員 | 2人 |
最高速度 | 65km/h |
一充電走行距離 | 120km(40km/h市街地走行) |
電動機種類 | 交流誘導電動機 |
電池種類 | リチウムイオン電池 |
充電時間(100%) | 7~8時間(AC100V) |
車両本体価格(税抜) | 248万円 |
4台の電気自動車を見てきたが、今後については4社とも同じ思いを述べていた。それは、「若い人たちにも乗ってもらえるようなクルマづくりを目指す」ということ。若年層のクルマ離れは顕著だが、これまでの内燃機関によるクルマとはまったく違ったアプローチで、僕たちをアッと驚かせてくれるヒット・カーを、ぜひつくってほしいものだ。