ローランドはこのほど、「The NAMM Show2009」にて発表したデジタルピアノ「V-Piano」についての国内向け発表会を都内で行った。価格はオープンで、実売予想価格は60万円前後。国内発売は3月下旬を予定している。
同製品は、これまでにない新しい音源方式を採用したデジタルピアノ。ローランドはこれまで、多数のデジタルピアノや、「V-Drum」、「V-Accordion」といった電子楽器をリリースしてきた。発表会で、同社社長の田中英一氏は「これまでも革新的な製品にはVシリーズの名を与えてきました。V-Pianoは次世代のデジタルピアノとしてオンリーワンのピアノサウンドを提供できる製品です。ピアノサウンドの新たな可能性を示すものなのです」と挨拶した。
一般的なデジタルピアノではアコースティックピアノの音そのものを録音し、内蔵するサンプリング方式が主流。しかしV-Pianoはデジタル技術によりハンマーが弦を叩き、駒からフレーム、響板へと音が広がるピアノの演奏プロセスを仮想的に再現した新音源方式を搭載する。鍵盤タッチの強弱に応じた音色変化は段階的ではなく、極めてスムーズで、減衰音も自然に消えていくなど、アコースティックピアノならではの複雑な響きや微妙な音色変化まで再現されているという。またデジタルピアノの特徴として、アコースティックピアノ同様の調律も可能。複数弦の微妙なチューニング、ハンマーの硬さ、さまざまな共鳴音の調整などもでき、ステージ上で複数台のアコースティックピアノを弾き分けるかのようにV-Pianoを弾くことが可能だ。これらのカスタマイズ操作は本体単体で行うことができるほか、専用のパソコンエディタソフトによりグラフィカルに調整することも可能だ。
V-Pianoには「Vintageピアノ・モデル」と「Vanguardピアノ・モデル」を搭載している。Vintageピアノ・モデルは世界の銘機と呼ばれるアコースティックピアノの音色を忠実に再現。歴史的なアンティークピアノから現代のコンサートグランドピアノまで豊富に収録し、いつでも最高のコンディションで演奏できる。またVanguardピアノ・モデルは、アコースティックピアノでは物理的な制約から実現できなかったピアノ音を生み出す、新音源方式デジタルピアノならではの斬新なピアノ音色を実現。アコースティックピアノでは通常、低音域には1~2本の銅巻弦、中高音域にはスチール弦を張っているが、V-Pianoでは全音域に3本の銅巻弦や銀巻弦を張ったモデルなどを用意する。チューニングを行うことも可能だ。
鍵盤は専用に新開発された「PHAIII(プログレッシブ・ハンマー・アクションIII)鍵盤」を採用。センサー部を大幅に強化し、連打や演奏の微妙な違いを緻密に検出することで音の変化として表現することができる。仕上げは象牙と黒檀の指ざわりや見た目を再現したアイボリー・フィール仕様。グランドピアノ特有のクリック感を再現する「エスケープメント機構」も搭載する。ピアノ専用に新開発されたアンビエンスも装備し、ホールやスタジオなど12種類を内蔵。フロントパネル上のAMBIENCEノブの操作により、臨場感あふれるサウンドを自在に演出することが可能となっている。
本体には演奏の録音再生が可能な「シーケンサー機能」を搭載。またUSBポートも装備され、SMFファイルを直接読み込ませて再生することも可能だ。本体内にはピアノパートから独立したGM2対応音源も内蔵されており、オーディオファイル再生機能と合わせバックトラック再生などに活用できる。サイズは1,411(W)mm×530(D)mm×166(H)mm、重量は38.2kg。