28日、都内で映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の記者会見がおこなわれ、主演のブラッド・ピット、監督のデヴィッド・フィンチャーが出席した。ブラッド・ピットの来日は3年2カ月ぶり。今回はパートナーのアンジェリーナ・ジョリーと生まれたばかりの双子を含む6人の子供たちを同伴している。
会見には総勢700名の取材陣が殺到し、会場内の移動も困難なほど。デニムにグレーのセーターとハンチングというシンプルなスタイルのブラッドが現れると、120台ものカメラから一斉にフラッシュがたかれた。
この作品は、80歳の老人として生を受け、普通の人とは逆にどんどん若返っていく男、ベンジャミン・バトンの物語。主役のベンジャミンをブラッド・ピットが演じ、相手役にはケイト・ブランシェットを迎え、不思議な運命を背負った男の出会いと別れ、悲しみと切なさの織りなす人生に涙せずにはいられない作品に仕上がっている。
ベンジャミンの若返るという変化に関して撮影上、気を遣った点は? という質問に、ブラッドは「何時間もメイクルームで座りつづけた努力の賜物だね(笑)。この映画が成功したのはいろいろな経験を積み重ねて表現したから。すべてをシンプルに正直に語っていることが、この作品の強みだと思う。演じるのはさほど難しくはなかったんだ」と答えた。
また、主人公が経験した別離について尋ねられると、「本質的に愛というものには必ず終わりがくる。それは変えられないもので、男と女の関係には必ず最後はやってくるんだよ。だから、一緒にいる時間を楽しむことが大切だと思う。別れがきても絶望的にそれにしがみつくのではなくて、価値を見出して、受け止めていく。そんな気持ちが必要なんじゃないかな」。恋に悩む人へのアドバイスにも聞こえるコメントだった。
ベンジャミンの40代半ばと比較して、いま何か劇的なことが起こる予感はありますか?と聞かれた45歳のブラッド。「僕には子供が6人もいるので、これ以上ドラマティックなことは起こらないんじゃないかな」と答え、会場の笑いを誘っていた。
会見終了間際、ブラピは取材陣に向かって、「僕が質問します」と発言。司会者も驚くハプニングだったが、「この近所で子供と大人が楽しめるところはどこかな?」と言葉を続け、優しい父親の顔を見せていた。
2月22日に授賞式を控える第81回アカデミー賞だが、作品賞など今回最多の13部門にノミネートされていることでも話題の『ベンジャミン・バトン』。意外にも、デヴィッド・フィンチャーの監督賞も、ブラピの主演男優賞も今回が初のノミネート。W受賞となるか、注目が集まるところだ |
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は 2月7日(土)より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー予定。
撮影:石井健