PCのモニタが星空を覗く"窓"になる……なんて素敵な話じゃないですか。フェアリーデバイセズが12月に発売した「StellarWindow v1.0」は、それを実現してくれる星空鑑賞ソフトウェア。恒星、惑星、星雲などの天体を精緻な写真とCGの融合によって美しく表示するだけでなく、USB接続の3次元加速度・地磁気センサーが方角・角度を感知し、向けた方向の空を表示するというものだ。センサーを接続したタブレットPCを空にかざせば、その方向の星空をモニタ上に映し出してくれる。まさに、星空を切り取った"窓"だ。
説明はいらない、ただ眺めているだけで……
PCにソフトをインストールすると、センサーを接続して起動する。すると、それだけでもう画面一杯の星空が! 見えていないけど空には今こんなに星が輝いているんだ……。と感慨深い。
プラネタリウムに行くと最初に必ず、満天の星が映され「でも、街中で実際に見えるのはこれくらいです」という説明とともに、明るい星だけが映される。
このソフトでも、データをもとにした「写真シミュレーションモード」と、実際に肉眼で見える様子を再現する「実視モード」機能が搭載されている。それぞれ、表示される星の量を調整することが可能だ。
せっかくだから、たくさん見えるようにしたいが、あまりに多いと何があるのかわからなくなるので適度に調整。ここまでやったら、あとはタブレットPCを立てかけておくだけでも十分だ。地球の自転につれて、画面上でもゆっくりゆっくりと星たちが移動していく。仕事でPCを使い始めて約10年、モニタを見てこんなに心の安らぐ思いをしたのは初めてだ……。
こんなものまで見えちゃいます
具体的な操作方法や機能も紹介しよう。まずは基本的な操作から。表示するエリアは基本的にセンサーの読み取った方角となるが、ドラッグで移動することもできる。どこまで行ってもメニュー左端のボタンを押せば元の位置に戻れる。また、その横の「-」「+」ボタンで拡大・縮小ができる。
天体をダブルクリックすると、その天体の名称や等級、距離などの情報が表示される。多くの天体でかなりの大きさまで拡大表示が可能となっている。
検索機能では、恒星・惑星などの種類ごとに名称などから天体を検索できる。しかし、検索結果では現在表示されている位置から見て"どの方向にその天体があるか"が示される。実際にその天体を見るには、ガイドの示す方向をクリックして、空を"旅"しなくてはならない。これはなかなか楽しい。検索のリストも「かじき座」とか「青い雪玉星雲」とか「ねずみ達の銀河」などなど、聞いたことのないような天体がたくさんあり、ちょっと探してみたくなる。
身近なところで月を検索してみると、この日は新月のため見ることができなかった。こういう場合は日付の設定を変えることで別の日の様子を表示することができる。
表示設定では、恒星・惑星・星雲など、天体の種類ごとに名前や軌道の表示/非表示が切り替え可能。星座では星座名のほか、星を結ぶ線や星座絵も見ることができる。さらに人工衛星まで表示することが可能で、こちらはネット経由で軌道要素を更新して表示しているという。
贅沢な星空を望むなら、少し余裕あるスペックのマシンで
タブレットPCで使っていると、機体を向けた方向の天体が見えるのは、よいのだが表示の追従がやや重い。このような場合は、天の川の写真や恒星の数など読み込むデータを制限して高速起動する「軽量モード」を利用するとよいだろう。
推奨システム構成を見ると、通常モードではそれなりのスペックが要求されており、デスクトップ機(Core2 Duo E4600、2GB RAM)で起動するとかなり快適だ。センサーは付属するUSBの延長ケーブルで接続し、手に持って方向を変えることができる。
さらに、プロジェクタを使って大画面で鑑賞してみた。BGMにiTunesでホルストの組曲「惑星」を流しながら、"大きな窓"に映し出される星空を見るのは、なかなか感動的だ。
これ、せっかく多数収録されている天の川や星雲・星団の高精細写真まとめて見せてくれたり、惑星や星座を順にめぐる星空ツアーなどの機能があれば、"宇宙船の窓"のように見えるのではないだろうか……などなど、更なる機能をたくさん欲張ってしまう。しかしながら、専門的な天体情報という見方とは別に、のんびりと星空を眺め、気の向くままに天体を見て回ることも可能な「ゆるさ」もこのソフトのよいところなのかもしれない。