KDDIは23日、2008年度第3四半期まで(2008年4月-12月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比0.3%減の2兆6,297億円、営業利益は同9.6%増の4,067億円、当期純利益は同8.1%増の2,539億円で、上期決算に続いて減収増益だった。また、昨年10月22日時点で3兆7,000億円としていた通期の売上高見通しを3兆5,000億円へ下方修正した。

売上の8割近くを占める携帯電話事業で、売上高が前年同期比2.4%減の2兆495億円となった。今年度に入ってから携帯電話端末の販売が急速に落ち込んでおり、2007年度は第1-第3四半期の間に累計1,132万台を販売していたところ、今年度は同期間で800万台と、約3割も減少している。連結ベースでの業績予想の下方修正もこれを受けたもの。なお、端末原価等の営業費用も減少しているため、営業利益・経常利益については当初予想から変更していない。

固定通信事業では前年同期比18.9%の増収となっているが、これには2008年4月に子会社化した中部テレコミュニケーション、セグメント範囲見直しで新たに固定通信事業内に入ったJCNグループなどが含まれる。光ファイバー接続、提携CATV局を通じて提供するケーブルプラス電話などの契約者が堅調に推移し、営業損益の赤字は前年同期の478億円から364億円へと縮まった。

そのほか、同社は2001年9月に新宿・大手町など4つのKDDIビルの土地・建物を証券化し、信託受益権をセントラル・タワー・エステートに譲渡していたが、これを2008年10月に買い戻した。匿名組合契約終了に伴い得た配当金363億を今期特別利益として計上しており、純利益の増加につながっている。

同日行われた決算説明会では、同社小野寺正社長が質疑に答える中で、携帯電話の次期通信方式について言及。現行の高速データ通信方式であるEV-DO Rev.Aの発展系「Rev.B」については、世界的に見ても採用事業者が現れないのでコスト面で不利と判断し、導入しないことを明らかにした。また、次期方式として導入するLTEに関しては、新800MHz帯内の10MHz幅を中心に展開することを希望しているが、新たに割り当てが行われる1.5GHz帯への適用可能性も含め、スケジュールや周波数は総務省の方針次第とした。