Booksベストセラー週間総合ランキング1月16日~1月22日では、『男道』(清原和博)が新登場で2位に入った。それ以外には目立った動きの少ない週となっている。

1月16日~1月22日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)

順位 書籍名(出版社) 著者
1位 読めそうで読めない間違いやすい漢字(二見書房) 出口宗和
2位 男道(幻冬舎) 清原和博
3位 「脳にいいこと」だけをやりなさい!(三笠書房) マーシー・シャイモフ/茂木健一郎訳
4位 悼む人(文藝春秋) 天童荒太
5位 新装版 天地人 (上・中・下)(NHK出版) 火坂雅志
6位 悩む力(集英社) 姜 尚中
7位 夢をかなえるゾウ(飛鳥新社) 水野敬也
8位 O型自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
9位 人間の覚悟(新潮社) 五木寛之
10位 ヘタリア Axis Powers(幻冬舎コミックス発行/幻冬舎発売) 日丸屋秀和

新登場で2位に入った『男道』(清原和博)は、2008シーズンで現役を引退した野球選手による自叙伝。「番長」のあだ名でテレビや雑誌に取り上げられることも多かった彼には、なんとなく自分中心のわがままなイメージが定着してしまい、また「年俸は高いのにケガが多くて試合に出ない」などの批判も少なくなかった。

だが、本著には野球人生とそれを支えてくれた恩人に対する彼の感謝の気持ちがあふれており、読者は彼のイメージとのギャップを意外に感じるかもしれない。読み通してわかるのは、清原は野球少年のまま育ち、野球少年として現役を終えたということなのかもしれない。全体的に表現力や情景の描写力に優れており、読みながら映像が頭に浮かんでくるような作品に仕上がっている。

単行本フィクション部門に目を移すと、9位に『くまとやまねこ』(湯本香樹実・文/酒井駒子・絵)が新登場でランク入りしている。仲良しの小鳥の死を泣いている熊という描写で始まる絵本で、身近な人の「死」とそれを乗り越える過程を動物にたとえて描いている。全国学校図書館協議会選定図書にも選ばれており、大人にも多く読まれているようだ。

今週の注目

『幕末史』(新潮社/半藤一利/1,800円(税別)

幕末というのは大変難しい時代である。そもそも、学校ではさらりとしか扱わないところが多い。どちらかというと学校教育では明治新政府成立以降を重視する傾向にある。だがその分、あらためて幕末について学んでみよう、もしくは調べてみようと思った時には意外に苦労した人が多いはず。個々の事例や人物・集団などに注目したマニアな書籍は多いのだが、事前知識のない素人にもわかるように全体の流れを説明した"幕末の本"に出会うのはなかなか難しい。

本著『幕末史』は、そんな数少ない書籍のうちの一冊だ。ページをめくってすぐに気付くのは、話し言葉で非常にわかりやすいこと。実は本著は慶應丸の内シティキャンパスの特別講座での講義を収録したものだという。軽妙な語り口や講義ならではの脱線がおもしろく、「幕末は登場人物が多くて複雑だ」と思っていたような方にも抵抗なく読めそうだ。

教科書的には明治維新とは「封建的な社会を一新させ、近代日本の基礎を築いた」ものであるに違いないが、本著では一部の人々による暴力革命であったという半面がしっかりと描かれており、幕末から明治初期とは現代的な基準では判断できない功罪入り組んだ時代であったことを教えてくれる。