ドイツの半導体メーカーQimonda AGは1月23日(現地時間)、地元ミュンヘンの地方裁判所に破産法に基づく資産保護を申請し、事実上破綻した。同社は昨年末に提示したリストラプランを早急に進め、事業の立て直しを図っていく。半導体大手の独Infineon Technologiesからスピンオフする形で2006年5月に独立した同社だったが、主力のDRAM事業が昨今の金融危機による需要減で大幅な価格下落に悩まされており、それが結果として業績に止めを刺す形となった。
QimondaはPC/サーバ向けDRAM製造では大手で、300mmウェハの製造設備を業界に先駆けて導入したことでも知られる。2006年のスピンオフ後もInfineonがQimonda株の77.5%を保持しており、事実上の親会社になっている。だが年々DRAM市場が悪化するなかでQimondaの業績は下降を続け、2008年10月13日にはジョイントベンチャーの株資産をパートナーの米Micron Technologyへ売却することで合意したほか、200mm製造設備やドイツのドレスデンにある工場の早期閉鎖などのリストラ計画を立て続けに発表している。
また12月21日には2009年初にも運転資金が枯渇することを警告しており、ドレスデンのR&D施設がある独ザクセン州、ポルトガルの開発銀行、さらに親会社のInfineonの3社から計3億2500万ユーロの資本注入を受ける計画を発表していた。米Wall Street Journalが独財務省広報のコメントとして報道した内容によれば、期限までにQimondaが必要十分な事業プランを説明できなかったため、銀行関係者らはこの出資計画を断ったという。資金獲得計画で頓挫したことが、同社の最後の望みを絶ったことになる。
再建を目指す同社には、依然として厳しい未来が待っている。Qimondaが主力とするPC向けDRAMだが、2008年第4四半期にはPC需要が実に6年ぶりに減少へと向かっており、アナリストらは今後1-2年は大きく需要が回復する見込みはないと予測している。PC需要は低価格・低性能の小型PCらが主導しており、ここ数年は上り一辺倒だったサーバ市場も低迷しつつある。市場ではライバルのDRAM企業らとの競争が激化しており、需要のだぶつきから2008年にはDRAMスポット価格は大幅に下落した。Qimondaに限らずDRAMベンダーらは依然として苦しい戦いを強いられており、高い研究開発投資に見合ったリターンを得られない状態が今後もしばらくは続くことになりそうだ。