"Connected Home"な世界でコンテンツを共有する

Chambers氏のキーノートの後半では、デモを交えて新製品の紹介が行われた。ここでは「Cisco Media Hub」「Cisco Wireless Home Audio」の2製品に着目してみよう。

今回発表されたCiscoのMedia Hub。ファイルストアのほか、コンテンツ管理サーバの役割も持っており、ネットワーク接続された各デバイスからコンテンツへのアクセスを一律に中継する

Media Hubは、いわゆるホームサーバだ。NASとして好きなファイルを保存できるほか、自動でネットワーク内のPCのデータをバックアップする。Webアクセス機能も備えており、Linksys (Ciscoの一部門)が用意しているWebページを介して、ファイアウォールの向こう側にあるNAS間で写真や音楽ファイルを共有することが可能だ。また、Media Hubの名前が表すように、メディアコンテンツのハブとしての機能も有する。例えば、ネットワーク内にある複数のPCに音楽ファイルが分散している場合、Media Hubが各ファイルの状態を記録してアルバム別やアーティスト別などに整理した状態で表示する。これにより、一元的なコンテンツ管理が実現される。SDカードやUSBメモリのリーダーも備えており、正にメディアハブとして活用できる製品だ。

Media Hubで管理されるコンテンツはPCを通してアクセスまたは再生が可能なほか、TVの大画面を通して見ることもできる。また、ネットワーク対応オーディオシステムやスピーカーの利用により、音楽だけをストリーミング再生することも可能だ。ここで登場するのが、無線スピーカー「Cisco Wireless Home Audio」だ。同製品はTVを使えばゲーム機などとの連携も可能で、ゲーム機内のファイルブラウザを介してコンテンツが再生できる。

Media HubではPCからだけでなく、Xbox 360などのゲーム機での再生や、同時に発表された「Cisco Wireless Home Audio」での再生、さらにポータブルデバイスでの再生など、再生デバイスを選ばずにAny Playを実現する

Xbox 360のリモコンを操作してファイルブラウザからMedia Hubへとアクセスすると、先ほど撮影した映像がすぐに確認できる

Ciscoのデジタルホーム戦略の特徴は、MicrosoftやIntelなどと異なり、必ずしもPC中心ではない点にある。技術的にはPCベースだとしても、PCなしでも各種コンテンツやサービスを楽しむ方法を提供する。ネットワークを中心にコンテンツを共有し、できる範囲でデジタルホームの世界を実現しようとしている。Media Hubに関してだけ言えば、囲い込みなどはなく、あくまで中立な多機能NASだ。好きなアプリケーションをカスタマイズできるWindows Home Serverなどと比較して自由度は少ないものの、目的に特化した必要最小限の機能は備えている。日本でいうバッファローやアイ・オー・データ機器の製品に近い。今後は、同社が買収した米Scientific AtlantaのSTBやKiss TechnologyのDVRソリューションを、どのように組み合わせてくるかというところに注目したい。