ヤマハはこのほど、独SteinbergのDAWソフト「Cubase」シリーズの新バージョン「Cubase 5」および「Cubase Studio 5」を3月中旬より発売することを発表した。いずれもオープン価格だが、実売予想価格はCubase 5が10万円前後、Cubase Studioが5万5,000円前後となる。
Cubase 5がフラグシップモデル、Cubase Studio 5が中級モデルという位置づけで、現行の「Cubase 4」および「Cubase Studio 4」の後継となっている。また16日以降Cubase 4およびCubase Studio 4を購入すると、特別バージョンアップ版が無償で提供される。いずれもWindowsとMacのハイブリッドで、Windows Vista 64bit版にもフル対応している。
さまざまな機能が追加された、今回のバージョンアップ。注目は、シームレスに統合された「ボーカル編集機能」や、「ピッチ修正機能」だ。Cubase 5のみに搭載される「VariAudio機能」はサンプルエディタに搭載されたもので、ボーカルなどのソロパートのメロディーラインを分析し、MIDIのピアノロール風に表示するとともに、解析された各音程のピッチ修正や音価の調整が可能となっている。一方、Cubase Studio 5に搭載されている「Pitch Correct」はヤマハがVSTプラグインとしてリリースしているピッチ補正ソフト「Pitch Fix」をCubase用に最適化し、より簡単にボーカルなどの音程のズレを修正できるようにしたもの。そのほか、Cubase 5には空間の音響特性をサンプリングするコンボリューション技術を採用したリバーブ「REVrence」が搭載されている。世界有数のスタジオ、アリーナなどでサンプリングされた70種類以上のインパルス・レスポンスデータが付属している。
新たに追加されたボーカル補正機能「VariAudio」(左)とPitch Correct(右) |
ホールやアリーナなどの反響音を録音した素材であるインパルスレスポンスを利用するリバーブ「REVerence」 |
プラグインとして、両ソフトに「GrooveAgent ONE」、「Beat Designer」を搭載。またCubase 5のみに「LoopMash」も搭載される。LoopMashは複数のループ素材を自由に並べてオリジナルのビートを作り出すユニークなツールだ。GrooveAgent ONEは40種類以上のプリセットを標準搭載したドラム音源、Beat Designerはリズムトラックを視覚的に編集できるMIDIプラグイン形式のステップ入力ツールとなっている。このBeatDesignerとGrooveAgent ONEを組み合わせることで効率のいいリズム制作が可能だ。そのほかにも拍子トラック、テンポトラックの搭載。バイオリンのボウイングやピッチカードなど複数の奏法を簡単に実現できる「VST Expression」も搭載する。Windows Vistaの最新オーディオドライバテクノロジー「WASAPI(Windows Audio Session API)」への対応など、さまざまな機能や、技術が追加されている。