楽天証券経済研究所はこのほど、日経平均株価が8,000円割れした状況を受け、チーフストラテジストの大島和隆氏による緊急レポートを発表した。

2009年初に9,000ドルを超える水準まで上昇した米国株市場に追随するかのように、日経平均株価も5日には約2カ月振りに9,000円台を回復したが、その後は下落に転じ15日現在、再び一時8,000円台を割り込むところまで状況が悪化した。

レポートによると株価下落の直接的な原因は、米国市場NYダウの下落によるものと思われたが、むしろ欧州経済のほころびがより鮮明になったためだろうとのこと。2008年の夏頃から始まったユーロ・バブルの崩落は、12月に入って一旦は改善に向かったかに見えたが、12月半ばに200日移動平均線に突き当たってから、そのまま再び下落へと転じてしまっている。

大島氏は「米国の経済状況が最悪な状況にあることは確かだが、米国市場は良くも悪くも透明性が高いのに対し、欧州の場合はそうとは言い切れない」とし、欧州系金融機関が抱える不良債権や、証券化商品に絡む価格下落による評価損の影響はリスク要因と懸念していたが予想は悪い方に当たりつつあるという。

結論としては「長期的に考えれば、いつまでも円が独歩高を続けるとも思い難く、多くの金融資産が割安な状況であることは引き続き変わりはない」よう。しかしながら、欧州の景気実態に対する不安感を市場がある程度織り込むまでは、ことのほか堅実な運用を心がけるべきとのことだ。