--オープンソースとしてリリースした理由は何ですか?

コミュニティと顧客主導の戦略の下、オープンソースとしても提供することにしました。バグの報告、新しい機能のアイディアなどフィードバックを得ることが目的です。Expressは85カ国から7,500以上のダウンロードがありました。

コードの公開後、さまざまな反応がありましたが、我が社にとって最大のニュースは、最大顧客ができたことです。

2007年8月、オープンソースで我々のソリューションを知ったという連絡が日本から入り、英語版を翻訳して日本語版を作りたいと言われました。もちろん、我々にしてみれば、願ってもないことでした。

このパートナーは、製造機器レンタル業のアクティオという顧客向けに予算プランニングソリューションとして、我々の製品を利用することになりました。アクティオの年商は、945億円と聞いています。当時、アクティオは、各地に分散する支店が参加できる予算管理ソリューションを探していました。このパートナーは、我々の技術を利用し、Web経由で各支店が予算プランニングに参加できるシステムを構築しました。強調したいのはそのスピードです。2007年9月にコーディング作業を開始しました。10月にはコーディング作業が完了し、その月末にはオンプレミス版のAdaptive Planningがアクティオにインストールされました。11月にはシステムが運用環境に入り、約800人のユーザーが使い始めました。そして、12月には、我々の技術を使って予算プランニングサイクルが完了したと聞いています。つまり、作業開始から5カ月以下で成果が出たのです。

オープンソースとして公開したところ、人の目に留まり、パートナー企業の手により顧客企業の問題を解決するソリューションとなった - これは、オープンソースのパワーを示す好例といえます。さらには、日本語化も進みました。このパートナー企業なしには、我々の日本語版提供は3年以上遅れていたと思います。

オープンソースとSaaSは、おもしろい関係にあります。オープンソースと聞くと、オンプレミスと思われがちですが、成功しているオープンソースベンダはホスティングで成長しています。たとえばオープンソースのCRMを提供するSugarCRMの場合、顧客の半分がホスティングを選択していると聞いています。

実際、オープンソースとSaaSは近い関係にあります。私は、次世代のソフトウェア企業とは、この2つのメリットを活用できる企業だと考えています。