ホールブレインとは?

何度も触れているとおり、マインドマップは、ブザン氏が脳の活性化を意識して考案したノート術である。

ブザン氏が頭の使い方に興味を持ったのは7歳のころ。筆者が同講座を受講した2008年12月現在で66歳というから、実に59年の経歴になる。氏は、過去に100冊以上の書籍を執筆。そのうえ、オリンピックのメンタルコーチとしても活躍している多才な人物だ。

そのブザン氏がテーマに据えているのが、脳全体の活用だ。ロジャー・スペリー氏の研究により、主に「言葉や数、線などを認識し、論理的思考や分析を行うのが左脳」、「リズムを感じたり、色や形を認識したり、イメージを描いたりするのが右脳」ということが明らかにされているが、マインドマップは双方をバランスよくSYNERGETIC(相互作用的に)に活用できるよう考案されている。また、このようなバランスのよい左脳右脳の使い方を「ホールブレイン(全脳思考)」と言う。

多くの人のノートは、言葉や数、線をひたすら並べるだけだろう。これでは、左脳が活性化しても右脳は遊んでいる状態だ。その結果、ノートを作っている最中にも「今日のご飯は何にしようか、などと知らぬ間に考えはじめたりする」(近田氏)という。

それに対し、色を使ったり、絵を入れたりすると、ホールブレインで情報処理が進められる。そのため、記憶に残りやすく、アイデアも浮かびやすい。「後で見返したときに、描いた当時の匂いや味、感覚などを思い出すことも多くなる」(近田氏)ようだ。

実際、講座を振り返ってみると、筆者も集中してマインドマップを作っていた感覚がある。また、終了後には、通常時とは異なる"高揚した疲労感"を覚えた。

マインドマップ基礎講座の様子