International CES 2009の会場で、日立製作所は薄型テレビのプロトタイプを展示していたほか、新たな体を使ったインタフェースやテレビを使ったビデオチャットなどを出展していた。

プロトタイプのサイズは37V型。1920×1080のフルHDの解像度を備えており、バックライトにLEDを採用、最薄部で15mmの薄さを実現している。

37V型の液晶テレビ

最薄部は15mmと薄い

この液晶テレビでは、重さが10kgと軽量な点も特徴だ。薄型、軽量化には、鉄のフレームからアルミニウムのフレームに変更し、金属部を減らしたことで実現。全体では4.6kg程度の重量を軽減させることができたという。

重さも従来比で4.6kg減と軽い

視野角178度、120Hz駆動の液晶ディスプレイに、HDTV標準色域の152%という広色域のRGB LCDバックライトを搭載してより美しい映像を実現できる。

さらに電力消費も削減しており、2008年に登場した薄型テレビUTシリーズで前年比1/3の厚さ、2/3の重さになったが、今回のプロトタイプでは重さが2/3、厚さが1/2になったことに加え、電力も1/2へと半減している。

シーンによって発光量を変えつつ、信号を上げることで見た目の明るさは変えずに電力消費を削減した。シーンによっては半分以下の消費電力となっている

この軽量、薄型テレビは2009年後半の発売を狙って開発が続けられている。

ワイヤレス伝送のプロトタイプも。チューナーユニット(左)とレシーバーユニット(中央)を分離してワイヤレスでつなぐことでテレビの薄型化を図る。伝送にはUWB(超広帯域無線)を採用している。右はBlu-ray Discプレイヤーで、チューナーユニットに接続してレシーバーに映像を伝送できる

こちらもプロトタイプとなる50V型のプラズマテレビ。解像度は1280×1080だが、最薄部が35mmと薄型になっている

映像の強化では、「Super Resolution」が紹介されていた。これは、フルHDの映像はよりシャープな映像に、SD(720×480)の映像はシャープなフルHDにアップコンバートする、というもの。HDとSDが混在する映像もフルHDに変換することができる。

SDの映像をHDに変換、さらによりシャープな映像にするというSuper Resolution

インタフェースでは、手を使ったモーションコントロールのプロトタイプを出展。たとえば手のひらをテレビに向けて振るとテレビの電源が入り、さらに左右に振るとチャンネル切り替えモードになり、さらに手を回すとチャンネルが切り替わる。上下に振るとコントロール画面が出て、回すと音量が変更される、といった具合だ。

手のひらを使ってテレビを操作する新しいインタフェース

テレビだけでなく、エアコンや照明のコントロールも可能になるように想定されており、映画を見ようと思ったら、手を振って照明を暗くし、エアコンを快適な温度にする、といった使い方ができる。

音量の変更などのテレビ操作に加え、家庭内のほかの家電の操作も可能

Canestaの立体画像認識CMOSセンサーチップと、GestureTekの技術を用いているというが、技術の詳細は明らかにされていない。すべての操作をモーションで操作するには適していないとして、リモコンと併用することを考えているそうだ。

テレビを使ったビデオチャットが可能な「Video Communication TV」もプロトタイプとしての出展。

一方のテレビはHDムービーカメラを使い、もう一方のテレビは、テレビ内蔵のカメラを使うことで、お互いの映像を見ながら会話ができるというもの。「Video-de-Mail」というサービス名がつけられており、IPベースで映像と音声をやりとりする形だ。

テレビに接続したHDカメラ(左)と、カメラを内蔵したテレビを使ったビデオチャット

より高画質な映像をやりとりできるというのが特徴で、テレビを使ったビデオチャットのため、より幅広い層に使ってもらえるというのがメリットだ。将来的にはPCや携帯電話にも接続し、さまざまなデバイスで利用できるようにする方針だという。