CESに合わせて1月8日にWynnホテルでShowStoppersが開催された。同イベントはCESの展示会場が閉まる午後6時にスタート。会場内に多数のバーと軽食が用意されており、グラスを持ちながらが当たり前という雰囲気だ。出展企業と報道関係者がリラックスして話す場である。展示製品は他のCESレポートで紹介されているものが多かったので、ここでは発表製品や新製品ではなく、会場で人気だった製品を紹介しよう。
入り口近くの人だかりの中心だったのはSkype。同社はCESに合わせて、AtomプロセッサとMoblinベースのLinux OSを搭載するMobile Internet Devices (MID)向けSkype 1.0のベータ版、AndroidおよびJava対応モバイル端末向けのSkype Liteの提供を発表した。だがブースでアピールされていたのは、2月に正式版リリースとなる予定の「Skype 4.0」だった。
開発中の4.0ではビデオ通話機能を前面に、ユーザーインターフェイスが一新されている。現行バージョンの倍の効率性でビデオと音声を扱える新コーデックが採用されており、大きな画面でクリアにビデオ通話を楽しめるのが好評だった。同時にテキストチャットを行えるのも便利だ。
ブースの説明によると、Skypeの場合は景気の減速が利用者増の追い風になっているという。特にビデオ通話の伸びがめざましく、昨年のクリスマスにはSkype通話の40%を超えたそうだ。
次にAstro Gamingのゲーム用オーディオシステム「A40」。ミックスアンプとマイク付きヘッドフォンの組み合わせだ。PCまたはゲームコンソールからの信号をミックスアンプでDolby Digitalデコーディングし、Dolbyボタンを押すだけで対応ヘッドフォンで5.1ch Dolbyサラウンドを楽しめる。Xbox 360を手がけたことで知られるAstro Studioのデザインは、見た目が優れているだけではなく、例えばヘッドフォンをDJスタイルで使用できたり、ラバーインサートでかけ心地を調整できるなど機能的。249ドルと高価だが、PCゲームにおいてオーディオは映像と同様にゲームを盛り上げる重要な効果である。A40と一般的なヘッドセットを使い比べてみると同じゲームが別物のように感じられる。昨今のオンラインマルチプレーヤー・ゲームでは音声チャットによるコミュニケーションが欠かせないだけに、一度A40を体験すれば249ドルの投資も有効に思えてくる。それがAstroのブースに人が集まっていた理由だろう。
Bug Labsのブースは大人の遊び場と化していた。BUGbaseというコアシステムに、パーツモジュールをはめ込んでガジェットを手作りできるガジェット・プラットフォーム「BUG」を開発・販売している。7日に、プロジェクター、オーディオ、ZigBee、Wi-Fi、3G GSMなどのモジュールの追加を発表。モジュールの種類が増えたことで、デジカメ、オーディオプレーヤー、ネット端末など作成できるガジェットの幅が広がった。「ガジェットのLEGO」という呼び名にふさわしい製品になってきた。
会場で一番めだっていたのはSchwinn Bicyclesの電動アシスト自転車「Tailwind」だった。昨年9月に東芝の新型二次電池「SCiB」を採用すると発表して話題になった。1月末に出荷開始するという。
SCiBは優れた安全性と長寿命、急速充電性能を兼ね備えているのが特徴だ。Tailwindのバッテリは、家庭用電源から通常の電動アシスト自転車の1/8程度の30分で充電できる。1回のフル充電で40-48キロ程度の走行が可能。従来まで600-1000回だったバッテリの充電回数が2000回以上となっており、Schwinnは20,000マイルもしくは2年間の限定保証をつけて販売する。
昨年のガソリン価格の高騰で米国でも自転車への注目が高まっており、最新のElectric Bikes Worldwide Reportによると、2007年に120,000台だった米国での電動アシスト自転車の販売台数が2009年には220,000台に伸びる見通しだ。
Plastic Logicのプラスチック・エレクトロニクス技術を用いたリーダー端末「Plastic Logic Reader」のデモは印象的だった。プラスチック基盤上に低温プロセスで有機トランジスタが配列されており、シリコンベースの技術よりも低コストで、軽く環境にも優しいディスプレイを製造できる。これにE Inkの電子インク技術を組み合わせて、低消費電力のリーダー端末に仕上げた。
持ってみると薄くて軽く、リーダーではなく単なるプラスチック板のような感覚だ。表示されたドキュメントのページはタッチ操作でめくる。その挙動が鈍かったのが残念だが、電子版の新聞を新聞らしく読めるメリットは大きい。今年春の製品リリースが楽しみだ。