デジタルカメラや携帯電話などさまざまな場面で使われているSDカードが、さらに大容量化することになった。2009 International CESの会場でSDアソシエーションが発表したのは、新規格となる「SDXC」(SD eXtended Capacity)。容量は、一気に2TBまで拡張されており、通常サイズのSDXCカードに加え、携帯電話などで利用されるさらに小型のmicroSDXCカードも登場予定だ。仕様書は2009年度の第1四半期中に公開するとしており、最大容量の2TBのカードは2012年ごろに出そろうと予想されている。
SDカードは、当初の容量は最大2GBまでとなっており、その後新たに「SDHC」規格を策定し、最大容量16GBまで拡大。2008年には最大容量となる32GBのSDHCカードが登場し、フルHDビデオカメラなどの大容量アプリケーションの登場もあって、さらなる拡張が求められていた。
今回、新たに策定されたSDXCは、従来FAT12/16(SD)、FAT32(SDHC)だったファイルフォーマットを変更してマイクロソフトのexFATを採用。これにより、最大容量は2TBまでサポートできるようになった。
さらに通信速度の向上も狙っており、SDHCの最高25MB/sから50MB/sもしくは104MB/sまで高速化できるようになった。最終的には300MB/sまで速度を向上させることが検討されているという。通信速度はオプションのため、例えば64GB容量のSDXCカードで25MB/sの通信速度も選択できるようだ。
ファイル容量は「事実上無制限」
FAT12/16では2GBまで、FAT32では4GBまでの制限があった1ファイルあたりのファイル容量も拡張され、「事実上無制限」(同社)になったという。それに加え、大容量ファイルへのアクセスが高速化されたのも特徴だ。昨今はフルHDの映像が録画できるメモリカードを記録媒体にしたビデオカメラが増えており、そうしたモデルの場合、1回の撮影で簡単に4GBに達してしまい、これまではファイルが分割されていた。SDXCになることでそうした制限がなくなり、最大容量まで1つのファイルで撮影し続けることが可能になった。
これにより、地上デジタル放送のようなハイビジョン映像を保存する際も、1ファイルを4GBに抑える必要がなく、さらに大容量ファイルへのアクセス速度も向上したことで、フルHDのような大容量の映像がより扱いやすくなる。
デジタル一眼レフカメラを始め、カメラの解像度も飛躍的に伸びており、特にRAWデータでの高速連写には高速なカードが必要だが、SDXCであればSDHCの倍以上の速度が実現でき、カードがボトルネックになって連写速度が落ちる、という状況を回避できる。
速度に関しても、秒間6コマでも速度を落とさずに連写できるほか、HDムービーの記録や保存がより速くなるなどのメリットをアピールしている。
また、著作権保護機能も強化。現行のCPRMを発展させたASSD(Advanced Secure SD)から、さらにHDビデオコンテンツに対応したCPXM(Content Protection for eXtended Media)を導入。CPRMは暗号化キーの鍵長が56bitのアルゴリズムC2を採用するのに対し、CPXMでは同128bitのAESを採用し、HDコンテンツ、テレビ放送の録画などといったコンテンツを安全に保存できるとしている。
今回のSDXCでSD規格スタートのころから想定されていた最大容量の2TBに到達した。現時点でSDXC以降のロードマップはなく、今後利用状況などを見ながら、将来の方向性を見極めていくという。状況次第では、さらにSDカードの容量を拡大することも検討するが、SDカードの規格自体を終了させ、新たな規格の策定を検討する可能性もあるそうだ。