米SanDiskは、2009 International CESで現在開発中の新製品を発表した。40,000rpmのHDDに匹敵するという高速SSDの第3世代製品やPC不要で買ってすぐに音楽を聴ける携帯型オーディオプレイヤー「Sansa slotRadio」などで、今後順次発売をしていく。
SanDiskの会長兼CEO、Eli Harari氏 |
SSDの新製品は、ノートPC用HDDの置き換えを狙った「G3」シリーズで、2.5インチの「SSD C25-G3」と1.8インチの「SSD C18-G3」の2種類が用意される。いずれもSATA-IIインタフェースで、45nmのNAND MLCを採用している。容量は60/120/240GBの3種類で、価格はそれぞれ149/249/499ドル。
この第3世代SSDの特徴は信頼性と速度。HDDの7,200rpmという速度に対し、5倍以上となる40,000rpmに匹敵する性能を実現。08年に出荷されたSSDの2倍以上の速度になるという。シーケンシャル性能は読み出し200MB/s、書き込み140MB/s。一般ユーザーであれば100年以上使用できる、という耐久性も備える。
同社の会長兼CEO、Eli Harari氏は、当時のプロペラ機に対してボーイング707が登場したように、SSDがポータブルコンピューティング環境を変える能力があるとして、「モバイルにおけるストレージの大きな転換点だ」と話す。
G3シリーズを掲げるHeye氏 |
SSD事業部上級副社長兼ゼネラルマネージャーのRich Heye氏によれば、従来のHDDは信頼性や耐久性が貧弱だと指摘。それに対して同社が調査した企業のCIOからは、容量はそれほど必要ないが速度と信頼性が必要で、多少の価格上昇は許容できるという結果が得られた。
それに対してG3シリーズでは速度向上により、HDDと比べて「起動時間は2倍、アプリケーションの動作は10倍も速くなる」(Heye氏)という。信頼性も向上しており、Heye氏は、今後5年間でノートPCの分野においてSSDは117%に成長すると予測する。
G3シリーズの発売は今年中ごろになる見込みだ。
携帯型音楽プレイヤーslotRadioは、音楽のライトユーザーに向けた製品だ。iPodをはじめとする携帯型音楽プレイヤーは、音楽CDをPCに取り込み、それをプレイヤーに転送する形で、基本的にPCの利用が必要となる。
音楽を特によく聴くわけでもなく、PCに詳しくもないが、ヒットチャートは抑えておきたい。そんな人に向けた製品 |
PCが不得手な人でもかんたんに大量の音楽を聴くことができるというslotRadioプレイヤー |
それに対して、PCが苦手な人も多く、そうしたユーザーは携帯型音楽プレイヤーを利用することが難しかった。
slotRadioでは、それを解消するためにプレイヤーに加えて1,000曲の楽曲が入ったmicroSDカード「slotRadioカード」を店頭で販売し、それをプレイヤーに挿入することでPCなしで楽曲を再生できるようにした。
楽曲は、米音楽誌Billboardのチャートから厳選され、専門家がさまざまなジャンルやテーマのプレイリストに分類した。プレイヤーは1.5型有機ELディスプレイを備え、ディスプレイ左右に触れると曲が前後するほか、大きなボタンを配置して使いやすさにも配慮した。FMラジオ、プレイヤーをベルトなどに挟むためのベルトクリップも備える。
発売は今年第2四半期。価格は1,000曲入りカードを含めて99.99ドル。追加の1,000曲が含まれたカードは39.99ドルで別売りされる。
同社は従来、同じような形でカードに音楽アルバムを入れた「SlotMusic」を提供。「4つのメジャーレーベル、Wal-Mart・Best Buyの2つの小売店に支持されたきた」(AV and Emerging Business部門上級副社長兼ゼネラルマネージャーDaniel Schreiber氏)という。歌手のRihannaのアルバムは、発売5-6週の売り上げのうち、6%をSlotMusicが占めていたそうだ。
今回はヒットチャートの中から1,000曲を厳選したカードを提供し、音楽らのライトユーザーに訴求していく考え。このカード自体は、同社の音楽プレイヤー「Sansa Fuze」などとも互換性があり、カードを挿入することでFuzeでも音楽を聴くことができる。
日本では、PCを使わなくても携帯電話の着うたフルの形で音楽をダウンロードして聴く文化が普及しているので、こうしたプレイヤーの需要は未知数だが、米国では一定の需要がありそうだ。ちなみに国内での販売予定については明らかにされていない。