「ハイスピード」という新しいデジタルカメラのジャンルを築いたカシオ計算機が、International CES 2009開幕前日、現地時間7日に開催されたプレスイベントで、新たな「ハイスピード」カメラを披露した。正式発表ではなく、新製品をデモンストレーションするという形だったが、昨年のEX-F1公開時には登壇しなかった樫尾和雄社長がデモを行う力の入れようだった。
樫尾和雄社長 |
これまで、カシオのハイスピードカメラといえば、「High Speed EXILIM EX-F1」「High Speed EXILIM EX-FH20」の2モデルが存在。いずれも一眼レフライクなボディデザインに高倍率ズームを搭載した本格的なスペックのカメラだ。秒間60コマ(F1)の高速連写によって、目に見えない瞬間でさえも切り取ることができたり、ハイスピードムービーによってスーパースローの動画が撮れるといった独特の機能を搭載したカメラだ。
今回の新製品は、いずれも文字通りのコンパクトデジタルカメラ。型番は「EX-FC100」「EX-FS10」の2製品で、FC100はコンパクト、FS10はカード型という位置づけで、従来のプロ、ハイアマチュア向けの製品とは異なり、一般ユーザー向けの製品となった。
「ハイスピードカメラのエンジンを薄型のカメラに入れることができた」(樫尾社長)というのが大きなポイントで、より一般ユーザー向けに仕上げたことで樫尾社長は「コンパクトカメラ(というジャンルのカメラ)が大きく変わっていく」と話す。「従来のカメラはただ写すだけのものだったが、これからは楽しむカメラに変えていく」。樫尾社長はそう自信を見せる。
ハイスピードを利用した撮影のメリット。高速連写によって決定的瞬間を逃さない |
実際にはすでにバットを振り終わっているのに、画面上ではまだボールすらバッターに届いていないスローモーションもハイスピードを生かした機能 |
具体的なスペックについては明らかにされていないが、30fpsの高速連写が可能で、スローモーションといった機能は搭載されているようだ。コンパクトサイズになったことで、ハイスピードがより身近になることは間違いなさそうだ。
最後に樫尾社長は、さらに新たな機能を備えたハイスピードカメラを投入することを明らかにしている。「世界で初めての動く画像を合成できるデジタルカメラ」(同)で、1,200万画素の撮像素子を搭載し、高速処理が可能な画像処理エンジンによって「画期的な、非常に不思議な映像を作ることができる」(同)という。
樫尾社長がデモしたのは、白バックの前に立ったモデルがプレゼントの箱を差し出すようにする写真を高速撮影し、その動くモデルを切り出して別の静止画に合成する、というもの。カメラ内で合成が行え、グリーティングカードなど、さまざまな動きのある画像を生成できる。
「私はマジシャンではない。このカメラがマジシャン」(樫尾社長)
現時点では、このカメラの詳細は明らかにされておらず、スペックや発売日は未定となっているが、米国での発売に関しては樫尾社長が明言した。「全く新しい動画を合成する技術を開発したことで、新しい使い方を提案した」と樫尾社長は話している。