JTBは8日、2009年の旅行市場に関する見通しの調査の結果をまとめた。

同調査は、各種経済動向予測をはじめ、旅行消費者購買行動調査、観光関連動向等から1泊以上の日本人の旅行(ビジネス・帰省を含む)と訪日外国人について推計したもので、1981年に調査を開始して以来、今回で29回目となる。

その結果、2009年における1泊以上の国内旅行人数は、対前年比1.1%減の2億9,325万人、平均消費額は対前年比2.5%減の3万2,900円と推計。減少のおもな要因は、全体的な経済環境の悪化の影響が挙げられる。ただし、ガソリン代が現在の水準を保つ場合は、ドライブ旅行者が増加する可能性も高いと予測。さらに目的性やテーマ性が強い旅行は経済動向とは関係なく賑わいを見せるものとし、4月28日~9月27日の長期間にわたり、横浜開港150周年記念のイベントが開催される横浜や、4月15日に新しいアトラクションがオープンする予定の東京ディズニーリゾートを中心とした都市型観光が人気となるのではと同社では推察する。

レギュラーガゾリン1リットル当たり全国平均小売価格

2004年 2005年 2006年 2007年 2008年
12月20日 12月26日 12月25日 12月25日 8月4日 12月22日
118.6円 128.9円 134.2円 155.0円 185.1円 110.6円
出典:財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター

一方、ビジネス需要の減少が想定される2009年の海外旅行市場については、海外旅行人数は1,530万人(対前年比4.4%減)と予測。平均消費額は燃油サーチャージの低下、円高による旅行先での消費金額の低下要因により29万5,000円と、対前年比で6.9%減少する見通しだ。ただし、これらの推計は2009年の景気変動に依存する面が多く、その推移によって海外旅行人数も左右される可能性が高いと見ている。

また、渡航先では特にウォン安の効果で韓国への旅行者が増加する可能性が高いと判断。4月以降に燃油サーチャージが廃止、もしくは大幅値下げとなった場合には、ヨーロッパへの旅行者も増えるのが予想されるという。さらに、LCC(ローコストキャリア)のジェットスター航空の成田空港就航により、燃油サーチャージの推移によってはオーストラリアへの渡航者も久々に増加に転じる可能性もあるとしている。

日本を訪問する外国人旅行者数の2009年の見通しは、830万人(対前年比0.6%減)と推計。訪日旅行者数は近年順調に増加傾向に推移していたものの、世界的な経済環境の悪化と急激な円高の影響を受け、前年は減少に転じており、年初しばらくはこの状況が続くと予想。しかしながら、2008年10月に発足した観光庁の施策等が実現されることによる効果や、中国からの旅行者の増加が見込まれ、年間を通しての旅行者数はほぼ前年並みを維持するのではないかと同社は予測している。