米AMDは8日(現地時間)、開発コードネーム「Deneb」で知られるデスクトップ向けCPU「Phenom II」を発表した。Opteron向けの「Shanghai」に続いて登場した、同社の45nm世代のプロセッサ。プロセスの微細化により省電力化・高速化が実現されており、Phenomシリーズの製品として初めて3GHzの大台を達成した。製品は即日出荷されている。

AMDの新世代CPU「Phenom II」

既報のように、「Phenom II」というブランド名称はすでに発表されており、今回、モデルナンバーや価格などの詳細が明らかになったもの。発表されたのは、クワッドコアモデルのPhenom II X4 940と920の2種類で、トリプルコアのPhenom II X3は含まれていない。

Phenom II X4では、従来の4桁のモデルナンバーに変わって、新たに3桁の数字が導入された(ちなみに940/920というモデルナンバーはIntelのCore i7と全く同じだが、日本AMDによると「単なる偶然」とのこと)。最上位モデルの940は"Black Edition"になっており、クロック倍率は可変だ。

■Phenom II X4の価格(1,000個ロット時の単価)
モデル クロック TDP 価格
940 Black Edition 3.0GHz 125W 275ドル
920 2.8GHz 125W 235ドル

Black Editionとなると、オーバークロック性能が気になるところだが、「ヘッドルームは非常に大きい」と日本AMDの吉沢俊介社長。Phenom X4は、最上位の9950が2.6GHz/140Wであったのに対し、Phenom II X4は、940が3.0GHz/125Wだ。高速化と省電力化が実現しており、空冷でも4GHz近くまで上げることが可能だという。

日本AMD・代表取締役社長の吉沢俊介氏

デモを披露する日本AMDの土居憲太郎氏

オーバークロック性能は期待できそうだ

OCツール「OverDrive」もバージョン3.0に

製造プロセスを微細化しただけではなく、コアにも手が加えられており、Phenom IIではIPC(Instructions Per Clock)が3%向上。キャッシュ容量の増加、動作クロックの向上などとあわせ、Phenom II X4 940はPhenom X4 9950に比べ、20%程度の性能向上が見込めるという。

■Phenomとの仕様の比較
CPU Phenom X4 Phenom II X4
製造プロセス 65nm SOI 45nm SOI
トランジスタ数 約4億5000万 約7億5800万
ダイサイズ 約285平方mm 約258平方mm
コア数 4 4
キャッシュ 2MB(L2)+2MB(L3) 2MB(L2)+6MB(L3)
メモリサポート DDR2-1066 DDR2-1066
HyperTransport 3.0 3.0
Cool'n'Quiet 2.0 3.0

Phenom IIでは、新たにDDR3メモリをサポートする「AM3」パッケージが用意されるが、今回発表された2モデルはともに従来と同じAM2+の製品となっており、DDR2メモリのみが利用可能だ。AM3版はSocket AM2+/AM3のどちらのマザーボードでも利用できるものとなり、こちらも順次、第1四半期中には投入される見込み。

Phenom IIは既存のマザーボードでも利用可能。ただしBIOSアップデートが必要になる場合がある

Phenom IIには下位互換性があり、AM3パッケージの製品は、DDR2メモリのSocket AM2+も利用できる

またPhenom IIにあわせて、「Dragon」プラットフォームも発表されている。従来、Phenom、ATI Radeon HD 3800シリーズGPU、AMD 7シリーズチップセットの組み合わせがSpiderプラットフォームと定義されていたのと同様に、DragonプラットフォームはPhenom II、ATI Radeon HD 4800、AMD 790FX/GXチップセットで構成される。

これは従来のSpiderプラットフォーム

新しいDragonプラットフォームの構成