10月に開催されたスペシャルイベントでのJobs氏。すでにかなり体重が減ってしまっており、自らの健康問題をネタにジョークをとばしたりもしていたが……

Appleファン待望の祭典「Macworld 2009」が今年も5日(米国時間)より米カリフォルニア州サンフランシスコで開催される。Appleが2009年を最後に撤退を発表した同イベントだが、同時に最後のMacworldのキーノートにCEOのSteve Jobs氏は登場せず、マーケティング担当SVPのPhil Schiller氏がステージに登壇することも発表されている。そうした経緯もあり、Jobs氏の健康問題について「病状はすでにかなり悪化している」という噂が年末年始にかけて広く語られる結果となった。だが5日になり、Jobs氏自らが健康問題についての公式声明を出し、プライベートな現況や病状についての赤裸々な告白を行っている。

Jobs氏がApple関係者やファンに向けて発信した手紙が米Appleサイトに掲載されている。同氏の手紙は、2008年末は、過去10年間で初めて家族と時間を過ごしたホリデーシーズンとなったという挨拶文からスタートしている。暫定CEOになってからの約10年間、Jobs氏の年末はMacworldでのスピーチの準備に追われる日々だった。その業務から初めて解放されたというのだ。だが同時に、キーノート担当の座をSchiller氏へと譲ったことが憶測を呼び、結果として健康問題に関する噂の流布につながってしまったと結んでいる。そうした経緯もあり、Macworld開催を直前にプライベートな話を少し開示することで、不安を気にせずにイベントそのものを楽しんでほしいというのが手紙の趣旨となる。

Jobs氏の体重が2008年を通して減り続けていたことはよく知られているが、その理由は本人を含め、医者にもよくわからなかったという。だが数週間前に根本的な治療に取り組むために検査を行った結果、主治医はその原因が「ホルモンのバランス異常」にあると診断し、それが結果として健康に必要なタンパク質を同氏の体から奪っていたと結論付けている。より精密な血液検査でも、同様の問題を示す傾向がみられたという。原因がわかったことでそれに向けた治療を開始し、体重の減りが止まるなど、すでに回復の兆しが出始めていると同氏は説明する。だが主治医は少なくとも春過ぎまでは継続治療が必要とも報告する。Jobs氏はこの間も引き続きCEOの職を継続するようだ。

Jobs氏がAppleに復帰してからすでに11年。CEOの職を離れたその後の同社について検討する段階に来ているといえる。健康問題についての声援に応えるとともに、つねにAppleに対して最大限の貢献を約束する言葉で手紙は締められている。