忙しさにかまけて休載継続中のコラム「男の家電」ですが、ここにお正月企画として復活しました。さて、2008年も、各社からさまざまな新製品が発売されました。1年間を通しておもな製品を振り返ってみたいと思います。

1月

各月ごとに見ていくと、1月は、15日に発表されたパナソニックの新乾電池「EVOLTA」の発表が大きなニュースとなりました。限界的な高出力時以外では、従来のオキシライド電池を上回る性能を持つアルカリ乾電池です。

また、21日に発表された象印の「NP-RA05」は、3合炊きとしては珍しい、圧力+IH炊飯器です。

薄型TVのVIERAとAQUOSは、いずれもスタンダードクラスのモデルです。ビクターのEXE 905シリーズは、同社が国内のTV事業を縮小していくなか、今のところ最後に発表された高性能なモデルです。EXEシリーズは、世界初の倍速液晶の採用など、その性能に関しての評価は高かったのですが……。

オキシライドを越えるアルカリ乾電池「EVOLTA」

3合炊きでは貴重なIH+圧力炊飯器「NP-RA05」

2月

2月は、富士通ゼネラルと日立製作所のルームエアコンが発表されています。富士通ゼネラルのnocriaは、フィルターの自動クリーニング機構を初めて搭載した製品としても知られていますが、4日に発表された2008年のモデルでは、コンパクト化がポイントです。nocria Z/Sの両モデルとも、室内機の高さは25cm。幅は、nocria Sでは72.8cmとなっています。今まで、省エネタイプのエアコンを取りつけられなかった狭いスペースにも設置できるというのが大きなポイントです。日立製作所の「ミストでうるおいステンレス・クリーン白くまくん」は、好評だったステンレス白くまくんにミスト脱臭機能をプラスしたモデルです。従来モデルに比べて、発生するミストの量が増え、肌の保湿効果も得られるというプレミアムエアコンです。

パナソニック DMR-BR500はシングルチューナーのBDレコーダー、DMR-XW320/120はダブルチューナーのDVDレコーダー。いずれもAVCエンコーダーを搭載しており、ハイビジョンのまま、4倍録画が可能という製品です。

21日には、ソニーがBRAVIA「F1」「V1」「J1」「M1」の4シリーズを発表。F1はスリムフレームや壁寄せスタイルなどを提案した製品。V1はスタンダードクラス、J1/M1はパーソナル向けの小型モデルです。

14日には東芝コンシューマーマーケティングが、クリーナー「クワイエ」シリーズを発表しています。運転音を49dBにまで下げた製品で、クリーナーの低騒音化の先駆けとなったモデルといえるでしょう。27日にはパナソニックが、紙パック式クリーナー「MC-P8000WX」「MC-P800WX」「MC-P800W」「MC-P80W」「MC-P8A」を発表。こちらは「新・ダブルドライブノズル」の採用(MC-P8Aを除く)を最大の特徴としています。新・ダブルドライブノズルは、ノズルの上方向にもスリットが開いていて、上方向からも吸気を行うことで、床上30cm以内に漂うハウスダストをキャッチするというものです。

狭い場所にも設置可能な省エネエアコン「nocria」シリーズ

ミストで肌に潤いを与えるプレミアムエアコン「ミストでうるおいステンレス・クリーン白くまくん」

床上30cmのハウスダストをキャッチするー「MC-P8000WX」「MC-P800WX」「MC-P800W」「MC-P80W」

3月

3月に発表された新製品では、パナソニックのビエラ「PZ800」シリーズが注目を集めました。プラズマTVとしてはNo.1の30000:1という高コントラスト比を持つパネルの採用や、同社のハリウッド研究所の協力により開発した新エンジンなどにより、高い表現力を持つモデルです。また、三菱電機のMZW100シリーズは、同社独自のダイヤモンドパネル+スリムフレームという組み合わせの大型TV。このころから、各社とも、北京オリンピック需要へ向けた大型TVの発表が続きます。

12日には、ソニーがアナログレコードプレーヤー「PS-LX300USB」を発表しています。これは、PCに接続して、アナログレコードをデジタル化するためのプレーヤーです。レコーディングや、ノイズを低減したり、CD化するためのアプリケーションも付属しています。また、13日には、同社より、世界初のデジタルノイズキャンセリングヘッドホン「NDR-NC500D」が発表されています。一般的なノイズキャンセリングヘッドホンでは、ノイズキャンセリング効果が効くまでに数秒かかるのですが、NDR-NC500Dでは、一瞬で周囲のノイズが聞こえなくなります。

30000:1の高コントラスト比を誇る「PZ800」

PCにダイレクトに接続できるアナログプレーヤー「PS-LX300USB」

世界初のデジタルノイズキャンセリングヘッドホン「NDR-NC500D」

4月

4月は、14日に発表された日立の超薄型TV「Wooo UT XP770」シリーズが話題となりました。同シリーズは、2007年末に世界に先駆けて発売された超薄型TVに、ネット対応機能と録画用のHDDを内蔵したモデルです。搭載されているチューナーも2基に増やされ、より利便性がアップしました。

また、18日には三洋からデジタルムービーXacti「DMX-CA8」が発表されています。同製品は水中撮影も可能な防水デジタルムービー。2008年の夏のヒット商品の一つです。3日には、ソニーからはフルHDモデルとしては世界最小のデジタルハンディカム「HDR-TG1」が発表されています。

2日には、東芝ライテックが、電球型蛍光灯「ネオボールZリアルPRIDE」を発表。電球型蛍光灯としては初となる、長寿命のプレミアムタイプです。また、同社では14日、CO2の排出量削減のため、2010年度中に家庭用白熱電球の生産を打ちきることも発表しています。

電球型蛍光灯としては初のプレミアムタイプ「ネオボールZリアルPRIDE」

世界最小のフルHDムービー「HDR-TG1」

ネット対応とHDD内蔵で、使い勝手も向上した超薄型TV UTシリーズ

5月

5月に話題となったのは、19日に発表されたシャープ液晶AQUOSの新ラインナップ。Rシリーズに採用されているパネルのコントラスト比は、3300:1と、市販されている液晶TV中、最大となっています。このころから、パネルのみのコントラスト比ではなく、バックライトコントロールも含めた値を、テレビコントラストやダイナミックコントラストといった名前で公開するメーカーが増えてきています。

また、東芝からは15日、DVDレコーダー VARDIAシリーズの新ラインナップが発表されています。HD DVD撤退後初となる、同社のレコーダーの発表に注目が集まりましたが、今後ともBD搭載機は出さないと発表されています。

7日には、ユニデンが地上デジタルチューナー「DT30」を発表しています。この製品は、このあと多く発売される、アナログTV延命用の低価格地デジ専用チューナーの最初の1台です。

地下核地デジ専用チューナーの先駆け「DT30」

3300:1の高コントラストパネルを採用するAQUOS「R」シリーズ

DVDレコーダー VARDIA

6月

6月は、大型のモニターが話題になりました。まずはシャープが13日に発表した世界最大の液晶ディスプレイ「LB-1085」。108V型というとんでもないサイズのこのディスプレイは、完全受注生産の業務用モデル。また、パイオニアからは、10日、60V型のプラズマモニター「KRP-600M」が発表されています。ユーザーが好みの画質を決められる「ディレクターモード」を備えたハイエンドプラズマモニターです。ソニーからは「KDL-32JE1」という低消費電力TVが発表されています。89Whという通常の32V型のTVの約2/3の低消費電力を特徴としたモデルです。

パナソニックが9日に発表した、ハイブリッド電球型蛍光灯「パルックボールプレミアQ」もおもしろい製品でした。従来、電球型蛍光灯は、寒い場所では点灯が遅くなるという問題を抱えていました。それを解消するために、スパイラル構造の電球型蛍光灯の内側に、一種の電球「クイックランプ」を装備したという製品です。寒い時期でもすぐに点灯するうえ、電球の熱によって、蛍光管の立ち上がりも助けます。また、クイックランプは、蛍光管が十分に明るくなると自動的に消灯するため、消費電力が増えることはありません。

108V型の超大型液晶ディスプレイ「LB-1085」

「ディレクターモード」の搭載で自由な絵作りが可能な「KRP-600M」

調停消費電力が特徴のBRABIA「KDL-32JE1」

電球内蔵で、すぐに点灯する電球型蛍光灯「パルックボールプレミアQ」