2009年8月8日に10周年を迎えるニトロプラス

ニトロプラスは12月25日、東京・秋葉原の秋葉原UDXにて、「ニトロプラス10周年記念プロジェクト企画概要発表会」を開催。発表会では、同社が10周年を迎えるにあたって展開される数々のプロジェクトについてが紹介された。

1999年8月8日に「ニトロプラス」ブランドを設立して以来、来年10周年を迎えるニトロプラス。ゲームを中心に、『ブラスレイター』といったアニメなどでも幅広く活躍する同社だが、10周年となる2009年を「飛躍の年」と位置づけており、次の10年を見据えてのプロジェクトを進行させる。

発表会ではまず、ニトロプラス代表取締役の"でじたろう"こと小坂氏が登壇。1999年8月8日に行われたワンダーフェスティバルの会場にて、『ファントム-PHANTOM OF INFERNO-』の体験版の配布からはじまった同社の歴史を振り返り、10周年記念プロジェクトについては、「さらに10年後も元気であり続けることを予感させるプロジェクト」であると語った。10周年記念プロジェクトのテーマは「Exceeding 10! (10を超える!)」。これは小坂氏によると、「10周年より先もニトロプラスが元気であり続けることを表明したいのとともに、これを機会に1年間に10個以上のプロジェクトをこなしてみよう」という思いを込めたテーマとなっている。

ニトロプラス代表取締まられ役こと名物広報のジョイまっくす氏が司会進行を担当

10年の月日を振り返りつつ、さらなる先の10年を見据えるニトロプラス代表取締役の小坂氏

引き続いて、同社の広報ディレクターである"ニトロくん"こと戸堀氏が登場。同社のロゴやWEBサイトをリニューアルする「Nitroplus Renewal」をはじめとする10周年記念プロジェクトが発表された。なお、発表された以外にも、2009年1月9日より幕張メッセで開催されるカスタムカーのイベント「東京オートサロン2009」に、『CHAOS;HEAD NOAH』とのコラボによる"痛車"を出展する企画などが進行中であるとのこと。なお、今回の発表会は、同社の10周年プロジェクトを「GAME」「MUSIC」「ANIMATION」といった3つのカテゴリに分けて紹介された。

ニトロプラスの広報ディレクターである戸堀氏によって、数々の10周年記念プロジェクトが紹介された


「GAME」- Xbox 360への進出! そしてアーケード格闘も

2009年2月26日にリリースされるXbox 360『CHAOS;HEAD NOAH』についてのトークを行う5pb.の松原プロデューサー(右)とニトロプラスの戸堀氏(左)

まずは、ニトロプラスの本業ともいえる「GAME」。最初に紹介されたのは、2009年2月26日にXbox 360向けのリリースが予定されている『CHAOS;HEAD NOAH』で、ゲストとして共同開発を行っている5pb.の松原プロデューサーが登場した。

まずは松原プロデューサーより、「『CHAOS;HEAD NOAH』はPC版の『CHAOS;HEAD』のXbox 360への移植だが、コンシューマ化されるにあたり、何かが削られたりすることは一切ない」との説明があり、逆に「PC版にはなかったキャラクター別の固有ルートが追加されており、シナリオの量は1.5倍ぐらい。主題歌をはじめ、歌もすべて新しくなっている」と、ただの移植ではないことが強調された。また、ニトロプラスと組んで開発することになったきっかけについては、「(5pb.が製作する)『メモリーズオフ』などとはちがう、とがった作品にしたいと思い、それがニトロプラスさんの、ちょっとダークな、独特の作風にあっていた」(松原氏)。『CHAOS;HEAD NOAH』は、ニトロプラスにとっても、はじめてのXbox 360への着手ということで、松原氏も「このタッグをより強めて、さらにほかの作品もできたらいいなと思っています」と今後のさらなる展望を述べた。

続くプロジェクトとして紹介されたのが、「ニトロプラス格闘ゲーム(仮)」。これは同社が以前リリースした『ニトロ+ロワイヤル』をベースとした本格的なアーケード向け格闘ゲームで、開発はシューティングゲームで有名な「マイルストーン」が担当する。

『ニトロ+ロワイヤル』とのグラフィックのちがいなどを説明するマイルストーンの滝ディレクター(右)

ゲストとして登場したマイルストーンの滝ディレクターは、「ゲームセンターの活気を取り戻したいなという意気込みで製作しています。格闘ゲームはキャラクターに魅力がないととっつきにくいところがあるので、さまざまなキャラクターが出てくる『ニトロ+ロワイヤル』を正式にアーケード向け格闘ゲームのレベルまで持っていければ、ゲーム業界の活気作りなどにも協力できるのではないか」と、今回のプロジェクトに参加したきっかけを語った。こちらも単なる移植ではなく、精度を上げての完全リニューアルとなる予定で、グラフィックについても『ニトロ+ロワイヤル』の倍くらいの精度になるとのこと。セガの「NAOMI」基盤で開発されており、現時点では、PC版の『ニトロ+ロワイヤル』が動作するところまで進行。2009年内の稼動が目指されている。

そのほか、「GAME」のカテゴリでは、『スマガスペシャル』『村正(仮)』などのニトロプラスブランドの作品についても紹介された。


「MUSIC」 - 2枚のアルバムリリースとイベントの開催

次のカテゴリは「MUSIC」。これまで音楽については外部での制作が基本となっていたが、2008年1月に、同社の関連会社「デジターボ」内に「GEORIDE(ジオライド)」が、"ニトロプラスとともに歩いていくための"音楽事業部として設立された。

「GEORIDE」は2009年に2枚のアルバムやイベントの開催などを予定している

「地球を駆け巡る」といった意味が込められた「GEORIDE」は、今後ニトロプラスの音楽制作はもちろん、アーティストや声優、バンドなどを育てていくとしており、2009年春には、ニトロプラスがこれまでにリリースしたゲームタイトルの主題歌を集めたベストアルバムなど2枚のアルバムをリリースするほか、ライブなどのイベント活動を予定している。今回の発表会には、GEORIDE所属アーティストとして、ニトロプラスのゲームタイトルの主題歌を数多く担当しているいとうかなこがゲストで登場。Xbox 360『CHAOS;HEAD NOAH』の主題歌となる「fake me」を披露してくれた。

会場にてXbox 360『CHAOS;HEAD NOAH』の主題歌「fake me」を熱唱するいとうかなこ


「ANIMATION」 - 10周年を飾る記念タイトル『Phantom』

TVアニメ『Phantom』の真下監督(左)と吉沼プロデューサー(右)が登場

2008年にはGONZOとの共同製作で『ブラスレイター』を手掛けたニトロプラスだが、10周年記念プロジェクトとして登場するのは、同社の記念すべき第1作目のゲームタイトル『ファントム -PHANTOM OF INFERNO-』をアニメ化した『Phantom ~Requiem for the Phantom~』。その詳細については、こちらのページでも紹介しているが、今回の発表会では、プロモーション映像が初公開されたほか、ゲストとして真下耕一監督とメディアファクトリーの吉沼忍プロデューサーが登場した。

およそ10年の時を経てアニメ化に至った本作だが、吉沼プロデューサーが、「ジョイまっくすさんと別の作品で仕事をしていたとき、ぜひプレイしてくださいということでゲームをいただきました。プレイしてみたところ、純粋に面白いし、10年経った今でも色あせない魅力を感じた」と語ると、真下監督も「私も10年前に『NOIR』という作品で殺し屋の少女を地上波で流すという暴挙をやったんですね。スタッフの中でもかなり激論があったんですが、ゲームでそれを、同じような方法論、同じようなコンセプトでやっているのをみて、尊敬、リスペクトを感じ、『初っ端からこれをやるか』というくらいの衝撃を受けました」と本作についての第一印象を述べた。

また、本作のキャスト陣についても発表され、ツヴァイ/吾妻玲二役の入野自由とアイン役の高垣彩陽からのビデオメッセージも紹介された。「謎の部分が多くて、僕自身もまだどういう風にこの物語が進んでいくのかわかっていないのですが、これから吾妻玲二、そしてツヴァイがどういう運命を辿っていくのかを、僕自身も楽しみにしながら演じていきたいと思っています」(入野)、「私もアインとして、この『Phantom』の世界観の中で生きていけるように一所懸命に演じていきたいと思っています」(高垣)。

ビデオメッセージで登場した入野自由(左)と高垣彩陽(右)

■TVアニメ『Phantom ~Requiem for the Phantom~』おもなキャスト
アイン / 高垣彩陽◆ツヴァイ (吾妻玲二) / 入野自由◆キャル / 沢城みゆき◆クロウディア・マッキェネン / 久川綾◆サイス=マスター / 千葉一伸◆リズィ・ガーランド / 渡辺明乃◆レイモンド・マグワイヤ / 千葉進歩◆梧桐大輔 / 志村知幸◆志賀透 / 保志総一朗

作品の見どころについて真下監督は「シナリオがすばらしいんですよ。若い人からプロ中のプロまでが参加しているんですが、"読みあわせ"の現場で泣いちゃうようなシーンもあります。キャスティングも非常に新鮮で、音楽もすばらしい。"本"と"音楽"と"キャスト"がすばらしいというてんこ盛りの状態になっていますので、ぜひ楽しんでいただきたいなと思ってます」と語り、気になる制作状況については吉沼プロデューサーから、「2クールの作品で、放送時期はまだいえないんですけど、通常よりは1クール分くらい早めに進行しています」と順調さをアピール。真下監督も「現場は大変な状況ですが、全力を尽くして頑張ります」と意気込みを語った。

「GAME」「MUSIC」「ANIMATION」といった3カテゴリにわたるプロジェクトが紹介された後、詳細についてはまだ語れないプロジェクトということで、小坂氏より、「虚淵、新たな挑戦」「ジョイまっくす」「モバイルサイト」「5pb.コラボ企画 第二弾」「海外」といったキーワードが紹介された。「5pb.コラボ企画 第二弾」については、すでに進行中とのことで、「『CHAOS;HEAD』は渋谷だが、今度は『秋葉原』が舞台になる」(小坂氏)とのこと。「皆様とご一緒に面白いこと」というキーワードでもって発表会は終了となったが、今回紹介されたプロジェクトはもちろん、ニトロプラスのさらなる展開、さらなる挑戦には今後も期待していきたい。

発表会の最後に紹介された6つのキーワード