典型的な喜劇を再現しようと、伊東四朗が2004年に立ち上げた伊東四朗一座。当時は最初で最後の予定だったが、観客からの好評を受けて毎年公演を行っている。今年も10月24日から11月3日まで東京・下北沢本多劇場で舞台『学おじさん』の公演を行った。WOWOWでは、10月30日に行われた同舞台の模様を来年1月4日(11:00~12:50)に放送する。

"最後の喜劇人"とも呼ばれる伊東四朗が、今年は精力的に舞台活動を行った。『学おじさん』は、今年5月から6月にかけて開催された『帰ってきた座長奮闘公演』に続く今年2度目となる舞台。2004年の『旗揚げ解散公演~熱海迷宮事件』以来、毎年1公演を行ってきた伊東四朗一座なだけに、今年は精力的に活動している。今回お送りする舞台『学おじさん』は、作・演出に水谷龍二を迎え、平田満、片桐はいりのベテラン勢、馬渕英俚可、森本亮治らの若手を配して、ほのぼのとした笑いを披露。小気味良い舞台となっている。

『学おじさん』

『学おじさん』ストーリー

昭和な佇まいを見せる2階建ての住宅。ここには失業中の米村直也(平田満)と直也の妻・和江(片桐はいり)、その息子・克彦(森本亮治)が住んでいた。そんなある日、突然直也のおじと名乗る蓮見学(伊東四朗)と、学を風水の先生と慕う青木孝正(飯田基祐)、丸岡秀子(馬渕英俚可)、河辺美香(吉田麻起子)がやってきた。45年ぶりに学と再会して喜ぶ直也だが、和江は学らを怪しんでいる様子。学らは、直也の好意でしばらく米村家に滞在するのだった…。

平田満と片桐はいりのやり取りで舞台がスタート。平田と片桐が、まるでどこかの家庭でも見られるような夫婦の日常を自然に演じている。平田は今回、優柔不断な夫役。キャストの中では一番普通の役どころだが、抑制の効いた演技で存在感を出すところは、さすが。また、馬渕英俚可の演技にも注目したい。物語では学の弟子で、学が営むスナックのホステス役で片桐に負けない強烈な個性を放ち、舞台に絶妙なアクセントを加えている。そして何と言っても伊東の存在だ。飄々としながらも笑いを盛り込む技は圧巻。随所に笑えるシーンがあるものの、その笑いが鼻につかない演技はさすがの一言だ。