給与計算ソフト導入後の作業内容
以上が給与計算業務の全体像である。大まかな流れしか紹介できなかったが、その業務の煩雑さはイメージしていただけたのではないだろうか。
給与計算業務では、勤務時間や法令、社内規定などを基に、決められた計算や転記などを行いながら作業を進めていく。これらはいずれもコンピュータが得意とする分野であり、それゆえに給与計算ソフトウェアの効果は絶大だ。冒頭で触れたとおり、大幅な業務効率化および作業の高精度化が期待できる。
給与計算ソフトウェアを導入した場合の作業の流れを具体的に見ていこう。
給与計算ソフトウェア導入時には、まず、『会社マスタ』と『個人マスタ』という2つの基本データを登録する。
これらのうち、会社マスタは、社会保険料や時間外手当の算出式など、各企業の給与規定で決められているような情報を登録しておくためのものだ。こちらは企業に固有のものなので、1企業で1つ登録すればよい。
一方、個人マスタは、扶養家族の人数や、社会保険の適用区分など、従業員ごとに異なる給与関連情報を登録しておくものになる。従業員に固有のものであるため、社員ごとに1つずつ登録することになる。
この2つのマスタさえ登録しておけば、月々の給与計算は、出勤日数や時間外勤務時間、休日勤務時間など、タイムカードの集計結果を入力するだけで、各種の手当/控除がすべて計算され、自動的に支払い額が出力される。電卓に数字を打ち込んで計算する必要はなく、勤務時間の計算やマスタの登録さえ間違わなければ支払額は常に正しい値が出力される。
作業量も雲泥の差だ。タイムカードの集計後は、そのデータを入力して内容をチェックするだけ。給与明細書や振込依頼書に関しても、印刷ボタンをクリックすれば自動的に出力される。所得税、住民税の納付の際も、帳票に出力された値を記入すればよいので、担当者の負担は大幅に軽減されることになる。
さらに田村氏は、業務効率化以外のメリットとして次のようなポイントを挙げる。
「給与計算ソフトウェアを利用すると、源泉徴収票などの帳票類も必要なときにいつでも印刷できる。不動産契約などで社員から源泉徴収票を求められたときも、会計事務所に帳票の郵送をお願いすることなく、その場で渡せるようになる」