IFRSの採用、さらには会計システムの見直し、こうした現状を見つめれば、企業が持つITシステムは根本から考え直す必要があるといえる。
日本オラクル アプリケーション事業統括本部 ビジネス推進本部 シニアマネージャー 安池俊博氏 |
「オラクルは2000年からIFRSに関する情報収集や動向調査を行ってきました。IASBの"IT Company Discussion Group"のメンバーでもあり、会合に出席したり、ITの分野での問題を提供したりするなどの活動を行ってきました」と語るのは、日本オラクル アプリケーション事業統括本部 ビジネス推進本部 シニアマネージャー 安池俊博氏だ。オラクルの財務会計ソリューションを利用している企業の25%がヨーロッパに拠点を構えていることに触れた同氏は「ヨーロッパはすでにIFRSに対応しているので、オラクルもすでに経験を積んでいるのです」と語った。
オラクルが考えるIFRSへのプランは大きく4つある。最初のステージでは「影響分析&戦略決定」を行い、2番目のステージではレポート作成を行うための「IFRSでの連結財務諸表の作成」、3番目のステージで「複数会計基準でのトランザクションを集中管理」し、4番目のステージである「IFRS対応をベースにビジネスを最適化」することに繋げるのである。「3段階目までがIFRSの具体的な対応です。ステージ4はIFRSに対応した基盤を元に経営にどのように活かしてゆくかといった、更なる企業価値の創造というフェーズに入ってゆきます」と安池氏は語る。
このプランを実現するソリューションには「シェアードシステムソリューション」が用いられる。シェアードシステムソリューションでは「Oracle Enterprise Performance Management」や「Oracle ERP Financials」、「Oracle Governance」といったオラクル製品群が使われ、IFRSでの会計管理を行いつつ、ローカルGAAPも同時に行える。もちろん、内部統制にも対応できるのが特長だ。ひとつのトランザクションから複数の会計基準の仕訳を自動生成する機能や、ひとつのアプリケーションでグループの帳簿を複数基準を含めて一元管理することも可能だ。
また、セグメント開示に対して柔軟な勘定科目体系を持たせることもできる。「シェアードシステムソリューションは非常に多くの導入実績を持っています」と語る安池氏。冒頭で述べたようにヨーロッパでの実績のほか、オラクル自身がこのシステムによりIFRSに対応している。「会計や購買、販売といったプロセスのバックオフィスの処理はすべてインドでやっています。標準化してしまえばIFRSの対応を外部に出すことも可能になってくるのです」と安池氏は語る。
オラクルのIFRS対応ソリューションはこれだけでなく、先ほど述べたIFRSでのレポート作成だけを行う「オラクル連結ソリューション」も用意されている。「IFRS以外でも、日本GAAP、米国GAAPといったように複数の基準で連結処理を平行して行えます。IFRSの連結テンプレートも提供できるので短期間で導入が完了します」と安池氏。
IFRSへの対応だけでなく業務の効率化を含めて会計システムを構築する「シェアードシステムソリューション」、時間を掛けて段階的なIFRS対応を遂げることが可能な「オラクル連結ソリューション」。企業においてIFRSへの対応はすでに視野に入れておかなくてはならない時期にきている。グローバル企業や上場企業など、会計システムの刷新に時間が掛かるケースでは早期に対応していかなければならない。