カプコンの人気ゲームタイトルを原作とし、2009年4月から、MBS・CBCほかでの放送が予定されているTVアニメ『戦国BASARA』。今回は、12月6日に開催された製作発表会の模様をお伝えしよう。
『戦国BASARA』のTVアニメ化について、 声優陣、製作陣が熱く語る
製作発表会に出席した、(写真右から)川崎逸朗監督、若本規夫、中井和哉、小林裕幸氏 |
製作発表会には、伊達政宗役の中井和哉と織田信長役の若本規夫のほか、監督の川崎逸朗氏、ゲーム版のプロデューサーで、TVアニメでは原作監修を務める小林裕幸氏が出席。TVアニメ化に向けた感想や意気込みなどが熱く語られた。
――『戦国BASARA』のTVアニメ化について、はじめて話を聞いたときの感想とTVアニメ化に対する意気込みを教えてください
中井和哉「『ついに来たな』っていうか、『やっぱり来たな』っていう感じですね。"将来的にはTVアニメ化を目指している"という話をよく聞くんですけど、だいたい立ち消えというか、寂しい感じになることが多いんですよ(笑)。しかし、『戦国BASARA』の場合は、『これは行くかも』っていう雰囲気が常に感じられる作品でしたし、ゲームのリリースもそういった盛り上がりを意識していて、『ああ、すごい方向に向かっているかも』っていうのを感じられるものだったので、『ああ、ついに来たな』っていうのが正直な感想です」
――「織田信長」を演じている若本さんは、この「織田信長」という人物について、どういった感想をお持ちですか? またどのようなところがお好きですか?
若本規夫「織田信長という男は、ケタはずれの、とてつもない存在というか、まあ"伝説"ですよね。計り知れない"ポテンシャル"、そして底知れぬ"狂気"。人の心を射抜くように見て、そして人を動かしていく。それが結果的に最後に本能寺で倒れるわけだけど、日本人離れしたというか、日本人の概念では捉えることのできない存在であると、僕は思います。織田信長という人物が本能寺で死なずに生きていたら、そして天下を治めていたらね、日本はどうなっていたのかなあと。おそらく僕は、日本は国際化していたと思うね。そして大きく変わっていたと思う。ところが、ほかの武将たちにはそんなスケールはない。織田信長なら、何か大きなことをやったんじゃないかなと思わせる、それくらいの男だと思います。好きなところは、自由奔放というか、囚われないというか……。それだけの才気があったから、そういうことができたんだけど、自由奔放なところが好きですね」
――TVアニメ化に際して、川崎監督が特に大切にしようと思っていることは?
川崎逸朗監督「ゲームのオープニングムービーなどで、"戦うシーン"はかなりアニメとして認知されていて、ビジュアルとしての印象があると思いますが、TVシリーズでは、"戦う前"、そして"戦った後"も描けるので、武将たちの悩みや、戦いに赴く際の生き様のようなもののドラマを、きちんと観ていただければなと思ってます」
若本「色事はないの?」
川崎監督「色事は……、前向きに検討したいと思います(笑)」
――小林さんは『戦国BASARA』の生みの親として、TVアニメ化をかねてから希望していたのでしょうか? また、TVアニメ化に期待していることはありますか?
小林裕幸氏「ゲームの第一作目は2005年の7月に誕生したんですけど、本当にTVアニメはずっと希望だったんですよ。"TV"アニメというところで、"TV"以外は絶対にダメだよってうちのスタッフにはずっといってまして……。アニメが好きなので、ゲームのほうにもアニメを入れていたんですけど、やっぱりTVアニメで多くの方に観てもらいたいという願いがずっとあって、やっと実現できました。ここまでの道のりは簡単なものではなかったので、すごくうれしく思っています」
ここで、発表会に参加できなかった真田幸村役の保志総一朗と片倉小十郎役の森川智之から届いたメッセージが中井和哉によって"ものまね風"に読み上げられた。
保志総一朗「『BASARA』TVアニメいよいよですね! 今までゲームの方でたくさん真田幸村を演じさせていただきましたが、も~っ洒落にならないぐらいヤバかったです! 熱くてっ、真面目でっ、バカでっ、暑苦しくてっ、バカ真面目でっ、どバカでっ!!! 今回はTVアニメなので、皆さん思う存分自分で動かすことは出来ません、すいません! ですがTVの前にどっしりと構えて、あいつらの大暴れっぷりを、たっぷりと楽しんでいただきたいと思います!!」
森川智之「『戦国BASARA』という作品に出会っていなかったら、ゲームにも、戦国時代の名だたる武将たちにも、こんなに興味をそそられることはなかったでしょう。満を持してのTVアニメ化です、政宗様の為に、政宗様の為に、政宗様の為に! (本当は1回しか書いてなかったが、中井のアドリブで3回に) 小十郎を演じきる覚悟です! 楽しみに待っていてください!」
中井がメッセージを読み上げた後、小林氏から「片倉が出るって発表してましたっけ?」との発言が。実はこの発表会の時点では、「片倉小十郎」がTVアニメ版に登場するということは公開されていなかったのだ。主要キャラクターだけに登場して当たり前と思われていただけに、片倉の出演については、このような非常にあっさりとしたサプライズ発表(?)となった。
続いて、TVアニメ版の映像の一部が会場にて公開され、その感想についてが次のように語られた。
中井「政宗がゲームでだんだん進化してきたイメージよりも、ちょっと不穏な目つきに戻っていて、政宗本来の禍々しい感じが出ていて格好いいなと思いました」
若本「動きのある織田信長を初めて観たんだけど、ちょっと西洋の騎士みたいな印象を受けましたね。大変ポテンシャルのあるキャラクターのように見受けられました。最後に陽が昇るところがすごくいいですね。将来が約束されているような、ヒット間違いなしみたいな(笑)」
実際の映像をお見せすることができないのは残念なところだが、そのクオリティについては、戦国BASARAファンも納得できる、文句なしの仕上がりだったことをお伝えしておこう。
引き続き、2009年春にカプコンから発売される予定になっているプレイステーション・ポータブル向けの『戦国BASARA バトルヒーローズ』のプロモーション映像が上映され、ゲームの特徴について、小林氏からの解説が行われた。
その後は取材陣との質疑応答が行われたので、その模様をいくつか抜粋して紹介しよう。
――「戦国BASARA」シリーズにはたくさんのキャラクターが出てきますが、その中で好きなキャラクターを教えてください。中井さんと若本さんは自分が演じている以外のキャラクターでお願いします
若本「それはキミ、"濃姫"じゃないの。決まってるよ(笑)」
中井「"本多忠勝"が好きですね。見ていてワクワクするじゃないですか。男の子の部分に訴えかけてきますね」
小林氏「(本多忠勝は)空も飛べますしね。最強です」
川崎監督「一番自分の中にない"伊達政宗"ですね。僕は石橋を叩いて割るくらいのA型の気質なので、あの"突進する"ような感じは出せないなっていう部分に憧れがあります」
中井「僕の中にもないんですよ、それは。無理やり出してるんです(笑)」
小林氏「僕も若本さんと一緒で女性キャラクターがいいんで、"お市"とかが好きなんですけど(笑)、本当に武将ですごい好きだったのは"織田信長"ですね。高校時代も読書感想文を書いたりするくらい信長が好きでした。ただ、『戦国BASARA』をきっかけにいろいろな武将を勉強したおかげで、あまりよく知らなかった伊達政宗のこともすごく好きになりました」
――戦闘パート以外も描いていきたいということですが、どういったキャラクターと絡んでみたいとか会話してみたいといいった希望はありますか?
若本「過去に絡んでますよね、濃姫もお市も。うん、だからそれにつきるんじゃないかな(笑)」
中井「そうですね……、(政宗は)女性キャラと絡めますか? アニメで」
小林氏「なかなか難しいんじゃないかと……」
中井「伊達はどうすればいいですかね?」
小林氏「今回ですね、脚本のむとう(やすゆき)さんに伊達軍を細かく書いていただいているんですよ。ゲームだと、「伊達政宗」「片倉小十郎」「その他」じゃないですか。でも、アニメでは「その他」の中にも名前の付くキャラが出てきます」
川崎監督「アニメ用に4キャラほど新しいキャラが出ます」
中井「それは結局、『野郎ども行くぜ!』の野郎どもですよね?」
小林氏「そう、『野郎ども』に名前が付いて、ちょっとセリフもあったりします」
中井「微妙にうれしくないですね……(苦笑)。それでは、どういう人たちがついてくれるのかを楽しみにしてます」
――「戦国BASARA」シリーズには数々のエピソードがありますが、TVアニメ版のオリジナルエピソードは予定されているのでしょうか?
小林氏「今回、TVアニメーションにするということで、当然『戦国BASARA』を知らない人、知っている人の両方に対応していかないといけないので、やはりキャラクターがどういうキャラクターであるか、性格面とかアクションも含めて見せていきますので、まったく新しい話を書いてます。焼き直しのようなことは全然なく、監督やむとうさん、プロデューサーの方々と新しい話をドンドン作っています」
川崎監督「とりあえず主人公は伊達政宗で、伊達が仮に天下統一を図ろうとした場合どうなるかというところから話は始まってます。そこからは、完全という訳ではないですけど、流れとしてはオリジナルに近い部分があると思います」
小林氏「まだ発表されていないキャラクターもたくさんいるんですけど、当然、伊達軍には小十郎がいて、真田幸村や佐助が出てくる武田軍がいて、そして織田軍にも濃姫、蘭丸、明智といった主要キャラが出てくるので、それをアニメとしてどうやって絡ませていくのか、どういう風に戦っていくのか、どういう合戦が起きるのかといったところは完全にオリジナルでやっています。ゲームをすべてやっている人でも楽しめるような新たな展開をいろいろ考えてやっていますので、期待してもらえればと思います」
――ぜひやってみたいシーンや期待したいシーンはありますか?
若本「濡れ場……。濡れ場はないよね?」
川崎監督「そこはさすがにないです(笑)。TVアニメで、小さい子どもからみてもらいたいので」
中井「CDドラマで、信長と最初に戦ったときに、ずいぶん軽くあしらわれた記憶があるんですよ。保志さんと二人がかりでいったのに、『ふーん』といった感じで軽く……。これまでいろいろな戦闘をしてきましたけど、こんな簡単にやられたのははじめてだなと思ったので、ぜひ今回は、できたら勝ちたいなって思います(笑)」
――昨今の「戦国ブーム」についてはどのように感じていますか?
小林氏「最近また戦国ブームとかいわれてまして、来年は大河ドラマで直江(兼続、『天地人』)があるんですけど、『戦国BASARA』をはじめてからは毎年そんなことをいわれてますね。『功名が辻』があったり、武田信玄の『風林火山』もありましたし。"今"がというより、戦国ブームは"定期的"に起きていて、『戦国BASARA』もその波に乗っていろいろやってきたので、来年もすごくいい波に乗りながら、世間を巻き込んでやっていけるんじゃないかと思います。さっき『直江』っていいましたが、『戦国BASARA』にも『俺様無敵』っていう直江がいまして、見た目も雑魚キャラでとっととやられるんですが、そんな直江がですね、(脚本の)むとうさんたっての希望でTVアニメにも出てきます。ただ、うちの直江は速攻やられます(笑)。大河の主人公が速攻やられるというところが見せ場というか、見どころです(笑)」
川崎監督「気付いてくれるかどうかという心配もあります(笑)」
――最後にファンの方へのメッセージをお願いします
中井「奥州筆頭、伊達政宗。TVという新しい舞台でまた楽しい"パーリー"にしたいと思いますので、『野郎ども、しっかりついてこいや』とお伝え願えればと思います。よろしくお願いいたしします」
若本「当然、第一級の作品に仕立て上げるべく、キャストの一員として、力を尽くしたいと考えております。よろしくお願いします」
小林氏「本当にTVアニメになるというのはすごく念願だったので、僕もスタッフで入ってますが、ユーザーと同じ気持ちで、早く4月にならないかなと思っています。ゲームのほうも春に出ますので、TVアニメともどもよろしくお願いします。今後、毎年1本『戦国BASARA』を出せるようにゲームのほうも頑張っていきますし、TVアニメも監督やほかのスタッフとともに、一生懸命、原作ファン、はじめて観る方ともに、楽しく観れる作品にしていきますので、みなさんも応援のほうよろしくお願いします」
川崎監督「小林さんはもとより、今回はキャストの方ともお会いしまして、僕は一番後乗りな感じの『戦国BASARA』のスタッフではありますが、その熱意は負けずに、ぜひ4月までには完全に皆さんの熱意を超えるくらいまで燃え尽きて、ぜひフィルムのほうでお会いできたらと思います。よろしくお願いします」
伊達ゆかりの鎧を囲んで |
TVアニメ『戦国BASARA』は、MBS・CBCほかにて、2009年4月より放送開始予定。
■TVアニメ『戦国BASARA』おもなスタッフ
原作 / CAPCOM (「戦国BASARA」シリーズ)◆原作監修 / 小林裕幸 (CAPCOM)、山本真 (CAPCOM)◆監督 / 川崎逸朗◆シリーズ構成 / むとうやすゆき◆キャラクターデザイン / 大久保徹◆アニメーション制作 / プロダクションI.G
■TVアニメ『戦国BASARA』おもなキャスト
伊達政宗 / 中井和哉◆真田幸村 / 保志総一朗◆織田信長 / 若本規夫◆片倉小十郎 / 森川智之
(C) CAPCOM / TEAM BASARA |