今年2月に行われたデルレイビーチ国際で日本男子史上2人目となるプロツアー優勝を果たした後、6月のウィンブルドンではグランドスラム本戦初出場、8月の北京五輪では日本代表選出と、日本はもちろん世界にもその名を轟かせた18歳の錦織圭。スター不在と言われた日本男子テニス界に超新星が出現したことで、俄然盛り上がりを見せている。そんな錦織選手に直撃インタビュー。今シーズン、趣味などのプライベート、来年の目標などを聞いてみた。

プロ・テニスプレイヤーの錦織圭選手

――今季のツアー終了後、日本で過ごしたオフはどうでしたか?

錦織圭(以下、錦織) : 「ゆっくり過ごしました。こんなに日本にいたのは久し振りでしたね。ストレス解消に買い物とかしましたよ(笑)。あとは友達にも会いました。それと和食ばかり食べてましたね。お寿司やしゃぶしゃぶ(笑)。アメリカに居る時より、1.5倍ほど多く食べてました。やっぱり美味しいですからね。本当に凄く休めた日本でのオフでしたよ」

――今季を振り返って欲しいのですが、今年はデ杯に初めて出場されました。日の丸を背負った感想をお聞かせ下さい。

錦織 : 「いつもの試合とは違うプレッシャーがありましたね。デ杯はチームで戦わなくてはいけないし、自分の成績がチームの勝ち負けに反映する。そこがいつもと違う部分でしたね。内容的に、納得のいく試合を出来なかったんですけど、チームということで、違うサポートを受けたり、応援だったり、一人ではなかったので、心が休まるところがあり、楽しかったです」

僕にとってフォアは有効打

――北京五輪はいかがでしたか?

錦織 : 「試合前まで特別な思いとかもなく、変なプレッシャーもありませんでしたが、試合に入り、いきなり4年に1回の大会であるとか、国の代表でやっているということを凄く意識し始めました。そのせいか、勝ちたいという気持ちが出始め、消極的になったり守りに入り、全然良いプレーが出来なかったのは残念でした」

――負けはしましたが、後半の猛追は凄かったですね。

錦織 : 「最初は気持ちがグダグダになり、0-5まで行ってしまいました。その時点で、このままじゃ終れないなという気持ちもあって、気持ちが吹っ切れ、どんどん積極的になり2セット目を取ることができました。3セット目は、凄い惜しかったですけど、本当にあと1歩の差で負けた感じ。敗れましたが、経験としては物凄く自信にもなった試合でした」

――錦織選手と言えば、ジャンプしながらフォアを打つ"エアK"に特長があると思います。ただ、バックのジャンピングショットを打つプレーヤーはいますが、フォアでやるプレーヤーが少ないのは何故でしょうか?

錦織 : 「僕は、決まる確率が高いので、有効打として使っています。他の選手が使わないのは、フォアにチャンスボールがきたら誰でもフォアの方が力があるし、バックだと力が入らないので、そういった部分でジャンプすると思いますよ」

――ラケットにもこだわりがあると聞きましたが?

錦織 : 「僕のラケットは、スイングスピードを早くするために前(グリップの逆側)が重く作ってあります。それがみんなとは違うところだと思いますね。それと、バックの時に手と手を離して握るので、グリップも長めに作っています」

――日本では、"エアK"を真似る小さい子供たちがいます。それについてはどう思いますか?

錦織 : 「真似してもらえることは嬉しいこと。そんなに使える場面はありませんが、是非とも使って欲しいショットですね。ただ、子供たちがやるのは危険ですから、上手な人にやって欲しいです」

――1日にどれぐらい練習するのですか?

錦織 : 「普段は午前中に2時間、午後に2時間。午前は基礎練習だったり気になるところを練習します。午後は試合形式の練習試合みたいな感じが多いですよ」

――現在、重点を置いているトレーニングはありますか?

錦織 : 「やっぱり今は体幹ですね。特に腹筋とか背筋とか、その周辺を強くすることで全体を強くしたいと思っています」

――さて、今年ブレイクし、来年のご活躍が多いに期待されます。来年の目標をお聞かせ下さい。

錦織 : 「フアン・マルティン・デル・ポトロ(アルゼンチン)とかマリン・チリッチ(クロアチア)とかもそうですけど、1つ上の年代の選手が活躍しています。デル・ポトロなんかは、全米オープンで対戦して凄い差を感じましたが、来年あれぐらいになれればいいかな? とは思いますね。今年の全米オープンではベスト16だったので、それ以上を目指したいです」

――来年最初に行われるグランドスラムの全豪オープンについてはいかがですか?

錦織 : 「全豪はジュニア時代に出場しましたが、今回はプロとして初めて出場する大会。とりあえず1回戦突破を目指します。暑い気候や慣れない部分はあると思いますけど、まずは1回戦を突破したいですね。痙攣だったり不安な要素がいっぱいありますので、食事やドリンクなど、自分で直せることは気をつけてやっていきたいです」

次ページでは、テニスプレイヤー・錦織圭のこれまでの軌跡を、錦織のテニス留学先であるニック・ボロテリー・テニス・アカデミーの関係者の証言からたどっていく。……次ページを読む