CESにもイベント規模縮小の波が……

AppleのMacWorld撤退のインパクトに隠れたが、一世を風靡した大規模イベントにも規模縮小の波は近付いている。世界最大のIT関連イベントで、家電業界をターゲットにしたトレードショウ「International Consumer Electronics Show(CES)」も金融危機の影響を多く受けることになるとみられるものの1つだ。

経済紙の米Wall Street Journal紙が12月4日(現地時間)に出した「Electronics Show Gets a Shock」という記事によれば、来年1月初旬に開催される同イベントの占有スペースが前年比5%マイナス、出展社数ベースでは15%の減少になると見込まれるという。また家電大手の蘭Philips Electronicsが出展を見合わせるなど、影響が大手常連メーカーにも波及しつつある様子がうかがえる。

CESではまだ参加予定者の人数見通しを公表していないものの、2007年の14万人という実績を下回る可能性はかなり高く、世界最大のITイベントも大幅な縮小を余儀なくされることになりそうだ。同イベントに参加できるのは業界関係者のみのため、出展社数減少がすぐに参加者減少に結びつくからだ。

2008年1月にラスベガスで開催されたInternational CES 2008。ラスベガスコンベンションセンター(LVCC)の2つの巨大ホールと別会場をすべて使用する巨大イベントだ

現時点で開催まで1ヶ月近くあるためまだ不明確な部分も多いが、CESが縮小傾向にある兆候は端々からうかがえる。

例えば、ここ数年は開催地である米ネバダ州ラスベガスのホテルは、1月の開催日の約半年前にあたる8-9月にはほとんど予約で埋まっており、近場のホテルはほぼ予約が困難な状況が続いていた。価格も通常は1泊50-100ドル程度で利用できるような部屋が、CES開催時期のみ1泊400-600ドルなど4-5倍以上の値段へと吊り上げられ、それでも予約が困難なほどだったのだ。

だが今回開催されるCES 2009では、開催1ヶ月前の12月に入っても普通にホテルの予約が入れられるほど空き部屋があり、値段も大幅なディスカウントがかかって通常の閑散期の週末料金レベルにまで落ち込んでいる。ラスベガスへの航空便チケットも現時点で比較的余裕があり、以前のCESからは考えられない状態だ。

おそらく、いままでスタッフや視察団を送り込むためにホテルや航空便を大量に予約していた企業がコスト削減を理由に参加人員カットを進めており、それが波及した結果だと考えられる。

CES開催前夜のオープニングキーノートを毎回務める米Microsoft会長Bill Gatesは、もはや同イベントの定番ともいえる存在だった。だが同氏のキーノートも2008年のCESがラストで、2009年は同社CEOのSteve Ballmer氏が担当することが発表されている。Gates氏とJobs氏の2人のライバルが同時にステージを引退するというのも非常に興味深い