ユーザ会設立のようす |
12月10日、手嶋屋は、自社開発のオープンソースSNSエンジン「OpenPNE(おーぷん・ぴーね)」を社内で使用している沖電気工業、バンダイナムコゲームス、セイコーエプソン株式会社、東京海上日動あんしん生命保険の4社と、「OpenPNEエンタープライズユーザー会」を設立した。
ユーザー会の目的は、社内SNS運営に携わる人々にコミュニケーションの場を提供し、各社の事例をもとに、社内SNSのよりよい運営を考えるというもの。今後は、幹事企業による自社SNSの活用事例発表、社内SNSに関する研究/情報公開、社内SNSに関するセミナーなどの開催、OpenPNEの技術・開発状況説明・要望収集などの活動を年4回ほど行う予定だ。ユーザー会設立に合わせて行われたイベントをレポートする。
設立の経緯は、セイコーエプソンの社内SNS勉強会に、同じユーザー企業である沖電気工業や手嶋屋が呼ばれたことがきっかけだ。そこで、「ユーザー企業同士が事例を話し合える会ができたらいいなということになった」(手嶋屋 SNSチーム営業担当 長谷川義行氏)のだという。
8月には、バンダイナムコゲームズも呼んで準備会が開かれた。準備会第2回では、東京海上日動あんしん生命保険、NECなどにも声をかけ、輪が広がった結果、今回の正式立ち上げとなったというわけだ。
次に、幹事企業などによる自社の社内SNS紹介があった。まず、沖電気工業 ユビキタスサービスプラットフォームカンパニー 事業推進部 販売推進 チームチームリーダー 山中修氏によると、沖電気工業の社内SNSは、2007年5月より運営を開始した。2,500 - 2,600人が参加しており、あえて招待制を取っている。「他の方々からは硬い製品を作っている会社と思われており、なぜSNSなのかと言われるが、これからはサービスなどの勝負になると考えている。社内SNSは、社内にさまざまな知恵を持った人がいるので、それを集める基盤にしたい。自社でOpenPNEの機能を拡張しており、『つながる、探す、共有する』を目標として活動している。ビジネスとして、企業向けSNS『Crossba(クロスバ)』を作り提供もしている」
バンダイナムコゲームス 事業推進本部 ネットワーク・サーバ部 ゼネラルマネージャー 湯原敦氏はこう語る。「ボランティアベースのSNSを運営しており、現在ユーザーは2,000名弱で、招待制を取っている。アクティブ率は約2割。年明け1月中旬にでも社内でオープンにする予定。アカウント管理を簡単にしたいと手嶋屋に尋ねた時に、ここに誘われて参加した。社内SNS名は『バナコ』といい、バンダイナムコとコミュニケーションやコラボレーションを意味している。
セイコーエプソンの社内SNSは、同社経営戦略本部ブランド・コミュニケーション推進部主事中村剣氏によると、情報共有やナレッジマネジメントを目的とし、約1年強運営している。「ゲリラ戦タイプで、周知の事実を作って進めている。ユーザーは約1800人くらい。これまであった自社のツールのうち、一番きちんと使われている。各部門とネゴシエーションを行うのに苦心した。お互いに事例や工夫を参考にし合えたらということでユーザー会設立を考えた」。
東京海上日動あんしん生命保険は、2年前の12月から社内SNSを開始した。企画部業務革新グループ 課長代理 天野剛宏氏は、「SNSを始めるにあたり、どうやって営業の声を集めるかがテーマになった」という。それまでLotus Notesなども使っていたがうまくいかず、SNSを使い始めた。社員1,100名中500名が外向している営業職員は対象外だが、残りの600名を対象とし、現場の声や社外の相手である代理店の声が集められ、プロジェクトに生かせている。悩みは「アクティブ率が最近減っているこ」とだという。
NEC 市場開発推進本部 主任 茂木崇氏は、「ユーザーでありながらサプライヤー。OpenPNEを使ったSaaS型のSNSサービス『Social Tool Mart』を提供している。全社導入のSNSはドリコムブログを利用しており、そちらは公認。同時に、OpenPNEを利用した非公式SNSを部門ごとに作っている。それぞれで使い分けており、たとえばうちの部門はOpenPNEのSNSを使っており、利用者は数人だが利用率は100%」という。