KDDI、テレビ朝日、朝日新聞社の3社は15日、共同で新たなビジネスの開発・実行を推進していくことで合意し、発表した。まず、au携帯電話向けに新聞・テレビを連携させた情報配信サービスを来夏にも提供を開始する予定だ。
インターネット上の情報配信を始め、デジタルメディアの急速な普及にともない、メディアが多様化。ユーザーが既存メディア以外のPCや携帯電話などから情報を入手するようになっている。こうした背景から3社はそれぞれが持つネットワーク基盤、技術力、マーケティング力、情報発信力などの強みを生かし、新しいデジタルメディアを構築することを狙う。
実現に当たっては、3社が持つ「FMBPE」(Fixed=固定、Mobile=携帯、Broadcast=放送、Print=新聞、Event=リアルイベント)のメディアを連動させるクロスメディアを提供していく。
KDDIは約3,000万の携帯ユーザーが常に端末を持ち歩く生活メディア、ユーザーが作成したコンテンツといった強みを持ち、ネットワーク、マーケティングを提供する。テレビ朝日は5,000万世帯の視聴者、若年層からF1/M1(20~34歳の男女)層への強みを持ち、トレンドや話題の生成力を提供。朝日新聞は、800万世帯の読者層を抱え、情報の信頼性、幅広い取材網といった強みから、情報コンテンツ生成力を提供。3社が「それぞれの特性を最大限に生かし、相互補完と相乗効果による新しいメディアコンテンツを創出する」(KDDIコンシューマ事業統括本部長・高橋誠取締役執行役員常務)計画だ。
例えば音楽コンテンツでは、固定・携帯のインターネットで音楽イベントや番組情報をベースとした詳細な情報を提供。放送では音楽番組などからアーティストや音楽との出会いを提供し、紙面で告知するなど音楽シーンをフォローする。実際にイベントも行うことで、ユーザーへのリーチを行う。これによって音楽業界を盛り上げ、「音楽業界に近い存在になれるのではないか」(同)という。
具体的には、朝日新聞とテレビ朝日の持つ報道やエンタテインメント情報などをauのマルチキャスト、B-SMS(ブロードキャストSMS)の技術を使って端末にプッシュ配信する。マルチキャストは、EZニュースフラッシュでも使われている同時一斉配信技術で、B-SMSは緊急地震速報で利用されているテキストベースの配信技術。マルチキャストは30分に1回などの定期配信を行い、B-SMSで号外や速報を配信する仕組みだ。
配信された情報に連動した広告事業、通販番組のようなEC事業も提供していく考え。
こうした情報配信と広告、EC事業を来年夏をめどに提供。今後さらに3社でビジネスモデルを開発、さらなるサービスを提供していきたい考えだ。
来夏の新サービスでは、朝日新聞、テレビ朝日が取材するなどして得た情報を24時間体制で配信することで、鮮度の高い情報をタイムリーに配信する。文章だけでなく動画も随時配信していく。
「今までの取材体制を、(24時間体制で)情報提供するような取材体制にしてもらって実現していきたい」(KDDI 高橋氏)考えで、新サービスでは「リアルタイムに近い形で(情報を)届ける」(同)ことが目標だ。
配信された情報はプッシュで送られるため受信動作は不要で、端末内に蓄積されるので電波の入らない地下鉄の電車内でも情報をチェックできる。配信される情報は政治経済、国際、社会からエンターテインメント、スポーツ情報など多岐にわたり、全ジャンルから特徴的な譲歩を選別して「日刊マガジン」として提供する。
速報や号外など、タイムリーに新鮮な情報を届ける。「一番こだわっている」(高橋氏)という部分 |
目標である1,000万ユーザーに、30分程度の間隔でのマルチキャスト、即時配信のB-SMSを配信。「ここまで本格的に届けるサービスはなかなか内」と高橋氏は自信を見せる |
ユーザーの趣味嗜好、居住地域などに応じたパーソナル化も行い、例えばその地域の「号外」を配信するといったことも可能にする予定だ。