1993年に『僕の見たビートルズはTVの中』でデビューして以降、ヒット作を飛ばし続ける斉藤和義。今年デビュー15周年を迎えた斉藤が、8月にリリースしたベストアルバム『「歌うたい15」SINGLES BEST 1993~2007』を引っ提げ、今月、全8都市10公演の「ライブツアー2008 "歌うたい 15<16"」を行っている。WOWOWでは、12月11日にZepp Tokyoで約2時間半にわたって行われた、東京公演の模様を、来年の1月5日(24:30~)に放送する。

同ツアーでは、今も沢山のアーティストにカヴァーされ、代表作となった『歌うたいのバラッド』や、CMタイアップ曲となっている『やぁ 無情』『おつかれさまの国』など、最新シングルを含むシングル曲を中心に全26曲を披露した。

Zepp Tokyoで東京公演を行った斉藤和義

12月11日、東京のZepp Tokyo。会場には数多くのファンが訪れ、開演前から高揚感が漂う。ステージ上には、斉藤の楽曲をイメージして作られた万華鏡のような模様絵の前に、蝋燭型のライトがゆらゆら揺れる。青いライトの中、斉藤がギターを片手に、ハーモニカを吹きながら、幕を開ける。斉藤の登場とアップテンポでキャッチャーなメロディーに、会場からは大きな歓声と手拍子が起こり、スタートからいきなり興奮状態に。サビの合間ごとに歓声が上がり、「せっちゃん」コールも鳴り止まない。続く2曲目、3曲目と、観客は頭の上で手拍子を刻み、斉藤も会場にマイクを向けるなど、オープニングから会場は一気に盛り上がる。Zepp Tokyoの良さは、アーティストと客の距離感だと思う。ステージに手が届きそうなほどの距離にいるファンが、熱狂し前のめりで斉藤の音楽に応える。

会場を一気に圧倒し静まらせた『歌うたいのバラッド』

オープニング終了後、斉藤は「イェ~イ、こんにちは。すごいたくさん、ありがとうございます。今日は収録が入っていますが、かしこまらず、"そんなもん知るか"という感じで、楽しんでいってくださいね!」と会場をさらに盛り上げた。

MCでは、タイアップとなった武田薬品「アリナミン」のCM撮影現場でのエピソードを披露。現場にいた、憧れの石田ゆり子とは緊張で「目も見れなかった」と明かし、「綺麗だったですね。ああいう人と付き合ってる方がいるっていうのが許せないですよ!」と会場の笑いを誘った。そして、最新シングル『おつかれさまの国』、『やぁ 無情』を高らかに歌う。

その後はブルース、バラードと続き、前半とは違う落ち着いたナンバーをしっとりと演奏。時には、玉田豊夢がドラムソロで会場を盛り上げ、斉藤は、キーボードやウクレレでの弾き語りを披露した。そして、会場の空気を一気に呑み込んだのは、代表曲『歌うたいのバラッド』である。青いライトに照らされて斉藤のギターが鳴り響く。斉藤の声が切なく、熱く力強く、「愛してる」と伝える。ヒートアップしていた会場は静まり、斉藤の声に引き込まれていく。バンドと観客の心が一体になった瞬間を感じる。長いアウトロの余韻を残したまま、スポットライトを浴びた斉藤のギターが美しく映える。曲が終わっても、観客は動けない。じわじわと拍手が起こり、最後には大歓声となった。

後半は一変、ロックナンバーが続き、一つになった会場は最高潮の興奮となる。ステージの照明は点滅を繰り返し、客席からは「オ~!」という歓声が鳴りやまず、観客は飛び跳ねて熱狂する。東京で、観客がこれほどまで興奮するライブは珍しい。斉藤も会場にマイクを向け、ピックを客席に投げると、会場の興奮は止まらない。

最高潮の盛り上がりの中、演奏は終了しアンコールへ。新曲を含む2曲を披露し、MCでは、来年1月からのレコーディングについての抱負を語った。その後、一旦、ステージを後にするが、アンコールの拍手に促され、斉藤が「サンキュー」とステージに戻ると、観客の歓声と手拍子は一層大きくなる。そして、ラストナンバーの演奏が始まると、割れんばかりの歓声が起こる。メンバーはステージの淵まで前に出て、観客の目の前で演奏し、観客は大興奮。斉藤が歌えば観客も歌い、斉藤がジャンプすれば観客もジャンプする。 最後に、斉藤は「ありがとう! またね!」とメッセージを残し、公演は終了した。

今回のライブは、デビュー曲から代表曲、新曲までが散りばめられた、斉藤和義のこれまでの集大成ともいえる。斉藤のMCも冴え渡り、Zepp Tokyoだからこその観客と一つになった熱いライブが繰り広げられた。

WOWOWでは、来年1月5日(24:30~)に『斉藤和義 ライブツアー 2008 "歌うたい 15<16"』を放送。本レポートでお伝えした12月11日、東京Zepp Tokyoで行われた凱旋公演の模様をおくる。