米Googleは12月11日 (現地時間)、Webブラウザ「Chrome」のバージョン1.0.154.36をリリースした。対応OSはWindows VistaとWindows XP SP2。今年9月2日のベータ版リリースから100日、14回のアップデートを重ねて、ついに正式版への移行となった。
Googleは、WebブラウザをWebアプリケーションの実行環境として進化させる目的でChromeを投入した。レンダリングエンジンにWebKitを採用、V8と呼ばれる独自開発のJavaScriptエンジンを備える。複雑化する今日のWeb環境がユーザーにとって快適なものになるように操作性と安全性も重視している。たとえばURLとWeb検索が1つのボックスにまとめられているなど、ユーザーインターフェイスはシンプルながら機能的。個々のタブが"Sandbox"化されており、1つのサイトでトラブルが起こってもWebブラウザ全体に影響は及ばない。
ベータ期間中にChromeのV8のパフォーマンスはさらにチューンナップされ、最初のベータ版と比べるとSunSpiderベンチマークで1.4倍、V8ベンチマークで1.5倍の数値を実現しているそうだ。またユーザーから寄せられたフィードバックを基に、プラグインやブックマーク、プライバシーコントロールなどが大幅に改善された。プラグインでは特にビデオとオーディオ関連のトラブルが多数報告されたが、正式版では「快適なパフォーマンスで楽しめる」という。ブックマークは最も改善要望が多かった機能で、他のブラウザからの乗り換えをサポートするインポート/エクスポートの問題が修正され、ブックマークマネージャーが追加された。
GoogleはChromeのベータプログラムの目的を「安定性と総体的なパフォーマンスの向上」としていた。それらをクリアしたと判断して正式版の提供となったが、開発チームが考えるChromeの完成には「まだ遠い」という。短期的にはフォームの自動フィルやRSSサポートが実装される見通しだ。今後の大きな目標として、Mac版とLinux版の提供、拡張プラットフォームを挙げている。