S60にも対応

Nokiaは、QtをNokiaのSymbian OS用アプリケーションプラットフォーム「S60」にポーティングした「Qt for S60」を発表している。これはまだ開発者向けの技術プレビュー版であり、「まだ取り組むべき作業がたくさん残されている」(同)ものであるが、2009年の第2四半期には正式なバージョンのリリースが予定されている。

このQt for S60だが、「既存のQtプログラマにとっては大きなニュースとなるはず。何しろ、Symbian OSを搭載した携帯電話は全世界で約8,000万台。なおかつ、PCやLinuxなどの従来機器のほか、カーナビゲーションやマルチメディア機器でも使えるようになるのだから」(同)と、そのインパクトを語る。

Symbian Foundationでは、Symbian OSとS60をベースに3つのユーザーインタフェースの統合を計画しているが、Qtはその根幹を形成する一部になるようだ。

WebエクスペリエンスをQtに統合

また、Qtのバージョン4.4.0以降から開発環境に「WebKit」をQtのコアコンピタンスとして含めたことで、C++のみならず、HTMLを選択することが可能となった。「現状、ほとんどの人は、何がWebページであって、何がアプリケーションなのかの垣根を感じなくなってきていると思う。だからこそ、開発環境の中で、HTMLを選択するか、C++を選択するかをできるようにする必要があった」とSchillings氏は語る。

さらに、2009年第1四半期にリリースを予定している次期バージョン「4.5.x」では、次世代JavaScriptエンジン「SquirrelFish」(コード名)を搭載するという。なお、Symbian OS向けのみ若干遅れ、同第2四半期のリリースとなる予定である。

「これにより、WebページのScriptを使う機能とQtのフレームワークを使う機能が統合でき、FacebookとAddress Bookの統合ができるようになったり、ローカルアプリケーションとWebコンテンツの統合などができるようになる」(同)とする。