水戸芸術館ではこのほど「おみやげプロジェクト」第三弾として、アーティスト・飯田淑乃さんとのコラボレーションによる『納豆とチーズの恋物語-なっちぃ』の製造、販売を開始した。プレーン味とトマト&バジル味の2種一組で630円。同商品に関連した展示として『おみやげプロジェクト2008「納豆とチーズの恋物語-なっちぃ」』を同館現代美術ギャラリー第9室において、2009年1月18日まで開催している。
「おみやげプロジェクト」は、2006年に同館で開催された『佐藤卓展「日常のデザイン」』において、グラフィックデザイナー・佐藤卓氏と地元・茨城の企業とのコラボレーションによって立ち上げられたもので、第1弾に『チョコ納豆』(だるま食品)、第2弾『チョコ★(ほし)いも』(亀印製菓)を製造し、現在も同館ミュージアムショップ「コントルポアン」をはじめ、水戸駅やサービスエリアなど県内各所で販売されている。アートとおみやげが見事に融合した好例となった。なっちぃはその第3弾というわけだ。
もともと「なっちぃ」は、若手の現代美術家である飯田さんが、水戸芸術館で行った展覧会「クリテリオム72」(2008年2月16日~5月11日)において創作した、納豆をイメージしたオリジナル・キャラクター「なっちぃ」からドライ納豆とチーズを組み合わせた新感覚のお菓子として創り出した。
クリテリオムでは納豆天使"なっちぃ"がチーズの妖精"チーコ"に恋をして、ふたりの仲を取り持つ歌のおねえさん"ごけんゆかり"とともに、楽しく「ねばねばなっちぃのうた」を歌うというもの。子ども番組のスタジオさながらにバルーンでいっぱいの展示会場には、ゆかりおねえさんが歌うビデオが流れ、なっちぃののぼりがたてられた。さらに飯田さんがパッケージをデザインした(当時は)架空の商品として「チーズ納豆 なっちぃ」が展示された。
それから半年、架空の商品だった「なっちぃ」が、だるま食品の協力と経済産業省の補助を受け、実際の商品として製造、販売が開始されたという。若干グロさが目立つ、口に糸を引いたなっちぃと本当にN○Kの教育番組に出てきそうなゆかりおねえさんの組み合わせを考えると、一体全体、どこまで本気なのか、商品そのものも冗談なのかと穿った目で見てしまうが、そんな事はないようだ。
前回のチョコ納豆については、数々の商品企画に携わってきた佐藤氏だけあって、好みはあるものの、かなりクオリティの高い商品となっていた。今回も、実際にこのなっちぃを食べてみると、期待を裏切らずに意外にイケる。ドライ納豆にチーズをコーティングしているのだが、元々がともに発酵食品だけあって、マッチングがいい。プレーンは豆の味にチーズのシンプルな味わいで、そのままおやつとして楽しめそうだ。トマト&バジルはチーズをベースにトマトとバジルのさっぱりした味わいがかなりいい感じで、こちらは酒のつまみにもいい。ただし、後から出てくる納豆特有のねっとり? の食感は、人によっては癖になったり、もうだめ、となったりいろいろ。商品としての可能性は未知数だが、水戸の新しい名物になるのは間違いないだろう。