漢(おとこ)なら誰もが熱い魂を燃え上がらせた『北斗の拳』。25周年を迎えた名作を彩る数々のサウンドが、「DJ KOO(TRF)」などの豪華DJ陣とオリジナルシンガー「クリスタルキング」をはじめとするアーティストたちによって、至高のトランスサウンド「トランス北斗の拳」となって蘇る。

12月25日に発売される「トランス北斗の拳」のジャケットイメージ

……魂を熱くしたのは、けっして"漢"だけではない。2008年12月25日に発売される本作には、『北斗の拳』を愛して止まない女性アーティストたちも数多く参加している。そこで、今回はその中の一人である今井麻美が『北斗の拳』、そして「トランス北斗の拳」を熱く語り上げる様子をお伝えしよう。


今井麻美が語る、最強のトランス・オフィシャルCD「トランス北斗の拳」

――「トランス北斗の拳」の話を初めて聞いたときの感想をお願いします

今井麻美

「初めてお話を伺ったのは、今回のCDのプロデューサーである中村さんと別の案件でご一緒させていただいたときで、一緒に電車で帰る際の駅のホームなんです(笑)。『実は色々な企画を考えているんだ』みたいな軽いノリでおっしゃった中に、この『北斗の拳』の案件がありまして。それはまた壮大なプロジェクトですねー、すごいですねー、なんて言ってましたね。まさか自分にお声がかかるなんて思っていなかったですから。最近、『北斗の拳』がいろいろな形で復活しているので、その中のひとつとしてCDが出るというのがすごいなって単純に感心してました(笑)。私も子どものころに観てましたという話をさせていただいて、2人で駅のホームで"キャッキャ、キャッキャ"と昔話に花を咲かせていたんですよ。それからしばらくたってですね、『今井さん、北斗の拳の歌をお願いします』っていわれて、えー私なんですか? みたいな。もうビックリして、まずその話が実現したことをうれしいと思う前に、"私なんかがよろしいのでしょうか?"って気持ちがすごく強くて……。やっぱり私の世代、特に男の子なんかは、本当にバイブルにしていた本であり、アニメであり、ということで、畏れ多いという気持ちがとっても強かったんです。でも、『北斗の拳』の音楽っていうのは、今でも断然通用するメロディだったり、歌詞だったり、パワーだったりっていうのがあって、それがさらに"トランス"っていうジャンルに生まれ変わるというのが、私にとっても、とても新鮮で。はじめは、"はわわっ、どうしよう"みたいに恐縮してしまったんですけど、楽曲を聴いているうちに、自分が歌わせていただけるっていう喜びのほうがだんだん強くなってきました。『トランス北斗の拳』は、本当に『北斗の拳』が大好きな方も、音楽が好きだという方も聴けるCDになるのではないかなと期待しております」

――今井さんも『北斗の拳』に対する思い入れがかなり強いということですが、何か思い出のようなものはありますか?

「正直なところ、『北斗の拳』が連載されていた「週刊少年ジャンプ」を読み始めたのは小学校1、2年生のころなんですけど、その頃は怖くて読めなかったんですよ(笑)。男の人たちが殴りあったり、殺伐とした荒涼の大地で生きたり死んだりっていうのを繰り返して……。何を求めてさまよっているのかも理解もできず、絵も濃く(笑)。なので、読み始めたころは、わからなかったんですよ、この面白さっていうのが。それで、小学校の4、5年生くらいのときにアニメを観て、衝撃を覚えたんです。なんだこのすごい世界は! あ、これってジャンプでやってるアレじゃん、みたいな感じで。それで慌てて、兄の持っていた単行本を1巻から全部読んで、"何でこの面白さがわからなかったんだろう"って思いました。ただ、どうしても女の子的な見方をしてしまうんですよね。なので、"あっ、ケンシロウ格好いいな"とか"やっぱトキかな"とか、"あ、やっぱり最終的にはラオウ様に包まれたい"とか(笑)。それが次の段階に進んだのが中学生、高校生になったときにもう一度読み返したときで、なんでみんながハマるんだろうっていうのが、やっと大人になってわかってきたんですよ。それまでは表面的なものしか見れてなくて、すごい幼い自分に怒りたい気分でもあったんですけど(笑)、この世界にハマれた自分がちょっとうれしかったりもしたんですね。上手くいえないんですけど、知らないままだったら、そのままきっと"濃い絵"を怖いと思ったままだったんですよ。私、昔はボクシング漫画も見れなかったんですよ、怖くて」

――やはり殴ったり殴られたりするあたりがですか?

「そうなんですよ。母親の平和的な考え方をもろに受けておりまして、人を殴ってはならないとか、けんかをしてはならないとか、平和を尊びましょう、みたいな教育を受けていたので。モロに殴ってますもんね(笑)。その一歩先に踏み込んで、面白いと思えるようになった自分がうれしいなって思いました」

――クリスタルキングさんの「愛をとりもどせ!!」など、歌のほうはいかがですか?

「ぜったいにみんな歌ってましたよね。あの高音と低音の入り交じる感じが、これなんなんだろう、みたいな(笑)。全力で歌わないと歌えないんで、かなりのご近所迷惑っていうあたりも。うちは田舎だったんで、いくらでも大きい声を出せたんですけど(笑)。実のところ、私はオープニングよりもエンディングのほうが好きだったんですよ。今回のアルバムではエンディングを歌わせてもらえるっていうので、ちょっと一人でニヤリとしていました(笑)。エンディングは、特に"ユリア"の絵が好きだったんですよ、あの殺伐としたアニメにはそぐわない感じがして。美しくって清らかな、ずるいっていうぐらいの演出で、ぎゅっと胸をつかむっていう感じがすごく子ども心にせつなくもあり、はかなくもありで。本当にすごい演出だなって思いました」

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